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とまロック8月18日パネルディスカッション「どうする原発に頼らないマチづくり!?」

トマロック関連事業 パネルディスカッション「どうする原発に頼らないマチづくり!?」
8月18日 18:30~
岩内地方文化センター2階

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司会:高木直良
コーディネーター:岩内江平(北海道新聞社岩内支局)
パネラー3名
 小田 清(北海道学園大学名誉教授)
 大嶋 正行(コヒマルカンパニス不動産代表/元岩内町助役)
 佐藤英行(元きょうわ農協常務理事)

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最初に小田清さんが「廃炉の時代に向けて」~岩宇地域の経済、エネルギーの将来をどう考えるのか と題して基調講演をされた。
講演内容ー(1廃炉と運転期間、停止期間の考え方/日本原子力発電株式会社鶴賀発電所1号機と泊原発廃炉スケジュール(仮定)比較と見通し/2 地場産業の重要性~持続可能な地域づくりの原点に立ち返る/泊原発廃炉に関わる問題点/緩やかな人口減と持続可能なマチづくり)

続いて大嶋正行氏が、私のテーマ・・・「原発依存と地域の将来」と題し、受け入れてきた側として経済効果と、岩内を売り込む代替案を話された。

講演内容ー(原発反対運動・・・・いいも悪いもこの地域は原発で食っているじゃないか/原発という経済吸引力…代わるものがあるのか/地域の閉塞感/岩内が浮上する最大のチャンスは今じゃないか/岩内の魅力と地域資源/Exprience Japan/岩内100s)

 

最後に佐藤英行氏が「どうする原発に頼らないマチづくり」と題し、「原発が及ぼしている地元4町村への経済効果」「後志の漁業状況」「岩宇地域の農業」について経済の視点から報告し、ご自身の意見として、脱原発をするために、これに代わる地域産業を活発にしなければならないと述べた。

講演内容ー(泊原発における地元人材活用/通常運転時における従業員数および出身者地別内訳/知り部地知己の漁業生産概要/水揚げ高から観る経済状況の推移)

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休憩をはさんで3名のパネラーに質疑する形で2部が進行された。
数名の質問者、ご自分の意見を発言される方の中では
児童文学作家の加藤多一さんが「教育は大切だと考える。子どもたちに(原子力の産んだ諸問題などについて)どう説明するのか?」と質問された。
鉄道ファンでもある斎藤哲氏(反原発連合/Shut泊/脱原発株主)は「原発反対運動に経済の視点が欠けている」としながら「国鉄岩内線廃線、道内への新幹線誘致がどのようにこの地域に影響したか」と質問した。

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ベクレルフリー北海道は3人のパネラーに対し、
「稼働について審査中の泊原発だが、すでにある使用済核燃料について、どのように考えるか?」
「使用済燃料が事故などを起こした場合の岩内地区の経済的未来予想図」について尋ねたが、3名のパネラーは「解決策は未来に託すしかない」(小田)「解決策がない」「意地悪な質問だ」(大嶋)

「核ゴミは動かさないことが基本」(佐藤)と答えたが、事故が起きたときの経済的予測に触れる回答はされなかった。

  参加されていた西尾正道医師は「原子炉は廃炉しても発電所全体を解体することは無理。解体したものを受け取ってくれる先を探すことも出来ないだろう」とし、CT(キャットスキャンシステム)を解体して出された40トンもの放射性廃棄物も、そのまま埋めるしかなかった」と過去の事例を紹介し、原発関連廃棄物は発生した場所に置いて見張るしかないと発言を締め括った。

 

 このシンポジウムでは、どの発言者も「使用済燃料が事故を起こす可能性」や「原発事故による経済的打撃後の未来」に触れる回答をすることはなかった。

 最悪ケースを考えたくないのは判るが、再稼働にばかり気を取られていると、使用済燃料への興味を薄めてしまうことに至りかねない。

 泊原発の稼働について審査したり、再稼働を止める工夫をしている間にも使用済燃料周りの機器は老朽する。これに対する措置を全くせずにいると、”いずれ来るその日”が、原子炉ではなく、仮に二度と泊原発が稼働されなかったとしても、使用済核燃料の冷却用プール周辺で地域の環境に影響するようなことが起こる可能性が高いのではないかと筆者は心配する。
 「放射性物質ができたところに留め置く」のは当たり前の認識だが、現在、審査中の泊原発敷地内には問題とされるだけの影響があるとする「活断層」の存在がある。

 このことを忘れて「動かせない」「成す術が無い」と繰り返しているだけでは、推進・反対双方とも頼りない。具体的措置をすべきであり、せめて頭をつきあわせて対策案くらいは出し合ってはどうなのだろうか? 

 大嶋氏は使用済核燃料の未来を訊ねたことに対し、「意地悪な質問」と回答をされたが、使用済燃料をあの場に置きっぱなし、措置も話し合いもせずに放置するほうが、よほど地域に対して意地が悪いのではないだろうか。

 

 加藤多一氏が「子どもたちにどのように説明するのか?」と質問した真意は、未来のことだけを言っているのではない。

「今生きている私たち自身を守らなければ未来を守れない」

 この問題をいまの子どもたちにも説明しなければ、当然、未来も守れない。

「処置できないようなもの」を放置して神に祈り続けたって、福島のような惨事は避けられない。

使用済燃料に対しても具体案の検討を開始するべきだ。

 

(ベクレルフリー北海道)

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