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原自連が「第6次エネルギー基本計画」策定に向けたパブリックコメントを提出

原自連が「第6次エネルギー基本計画」策定に向けたパブリックコメントを提出

資源エネルギー庁長官官房総務課 パブリックコメント担当宛

第6次エネルギー基本計画策定に向けた意見の募集について

 

団体名

原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟

                                          会 長 吉原 毅 

                                          顧 問 小泉 純一郎

                                          顧 問 細川 護煕

                                          副会長 中川 秀直

                                          幹事長 河合 弘之

                                          担 当 木村 結

住所

東京都新宿区四谷本塩町4−15 新井ビル3階

   ※電話番号とメールアドレスはこのブログ上では
    伏せます。(ベクレルフリー北海道)

 

はじめに

エネルギー基本計画案に「再生可能エネルギー最優先」と明記したことは評価しますが、2030年への電源構成で「再生可能エネルギー36~38%」は現状追認であり評価できません。この目標値は欧州・中国等各国に比べ異常に低く、日本は世界の流れから2,3周遅れていることを深刻に受け止め、「2050年再エネ100%」を見すえ、2030年に向け「50~58%」の導入目標を示さないと意味がありません。

 

再生可能エネルギーは、安全性、経済性、環境負荷、エネルギー安全保障(S+3E)の点で最も価値があり、名実ともに主力電源として、最優先で最大限導入するべきです。

そのための実効性あるルールの整備が必要不可欠です。旧来の考え方の「ベースロード電源」とされてきた原子力発電と石炭火力の送電系統への優先接続を改め、再生可能エネルギー電気の出力抑制を禁止するとともに無条件の接続を国が保証し、再生可能エネルギー賦課金は原子力発電関連に使用しないこととするべきです。

 

太陽光、風力について、昼夜や風の有無の変動への電力調整には、バッテリーと揚水型発電所を活用することとし、水素やアンモニア変換設備の拡充も含めて国家戦略として推進するべきです。自然エネルギーのうち、太陽光発電が最もコストが安く効率性が高いので最大活用すべきです。特に有望な営農型発電を推進するため、農地の一定割合に導入する義務付けや融資面の支援を行うべきです。太陽光発電は営農型を優先し、土砂災害の元凶となるような自然破壊型の大規模開発を禁止しなければなりません。

このような政策努力を重ね、日本は省エネルギー・エネルギー利用の効率化を進めつつ、自然エネルギー地産地消を伴う地域分散型エネルギーシステムへと急転換していくべきです。

 

原子力発電について、「新増設」は世論が許さず、今回も記載しなかったのは当然のことです。一方、今回も「可能な限り原子力発電依存度を低減する」としたにもかかわらず、「原子力20~22%」と前回計画の数値を維持したのは矛盾と言わざるを得ません。

この数値を達成するには、寿命40年を超える老朽原子力発電所も含めて、全ての原子力発電所を再稼働する必要があり、これはあまりに危険で非現実的と言うほかありません。しかしながら40年原則は守られず延長を重ねています。また、原子炉等規制法に反し検査・審査の停止期間を40年の運転期間から除外しようとしています。

 巨大地震が想定される中、原子力規制委員会は不完全な規制基準のもと原子力発電の安全を保証できません。原発のコストは必須の安全対策工事、賠償、廃炉などで激高です。原発は発電の時以外の、ウランの採掘、建造、冷却、廃炉等で膨大なCO₂を排出し、大量の熱水放流で海水によるCO2吸収を妨げています。国はこうした多大なリスクを抱える原子力発電から脱却することを直ちに宣言し、速やかに「原発ゼロ社会」への移行プロセスに入るべきです。

 

 本連盟は以上の考え方に立ち、意見のポイントが整理された「第6次エネルギー基本計画へのパブリックコメント」を示すとともに、基本計画案の全般にわたる詳細な意見書を取りまとめました。

私たちの意見に対し国民各位よりご理解いただくことを望むとともに、基本計画策定に当たり、私たちの意見がしっかりと計画内容に反映されるよう要請します。

                                   

意見1

原子力の持続的な活用」は止めるべき

該当箇所

(P23,716〜718行)原子力については、国民からの信頼確保に努め、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していく。

意見内容

福島第一原発事故を経験した日本は、原子力は即座にゼロにすべき。

国が崩壊するリスクを経験し、十分な安全性も確保されない上に、使用済み核燃料の行き場もない原発を続ける理由がない。

 

意見2

核燃料サイクル、再処理、プルサーマルは即時廃止すべき

該当箇所

(P71,2325〜2376行)

b)核燃料サイクル政策の推進 (ア)再処理やプルサーマル等の推進

意見内容

核燃料サイクルは完全に破綻しており、再処理もプルサーマルも即時廃止する。余剰プルトニウムは国際監理下のもとで不動化処理を行う。

 

意見3

2030年の電源構成:再生可能エネルギーは50%以上とすべき

該当箇所

(P105, 3562〜3574行) 

再生可能エネルギーについては・・・電源構成では36〜38%程度を見込む。

意見内容

再生可能エネルギー、とくに太陽光発電風力発電は世界史的にコストが急落し急成長しているエネルギー転換の主役(ゲームチェンジャー)であり、この10年間で日本の再エネが10%から20%以上と倍増した過去や、2030年の導入見込み量(3530億kWh)からの上乗せ、電力需要の大幅削減(意見6参照)、ならびに海外(特に欧州)の導入実績(2020年で40%以上)を踏まえ、2030年の電源構成における再生可能エネルギー割合は50%以上をめざすべき。

 

意見4

2030年の電源構成:原子力はゼロとすべき

該当箇所

(P105, 3575〜3581行)

原子力発電については・・・電源構成では20〜22%程度を見込む。

意見内容

福島第一原発事故を経験した日本は、原子力は即座にゼロにすべき。

国が崩壊するリスクを経験し、十分な安全性も確保されない上に、使用済み核燃料の行き場もない原発を続ける理由がない。

 

意見5

2030年の電源構成:石炭・石油等はゼロとすべき

該当箇所

(P105, 3582〜3591行)

火力発電については・・・電源構成ではLNG火力は20%程度、石炭火力は19%程度、石油火力等は最後の砦として必要最小限の2%程度を見込む。

意見内容

気候危機が深刻化する中、石炭火力や石油火力等は速やかに廃止すべき。

その分は、電力需要の削減と再エネおよびLNG火力でカバーできる。30%程度の変動型再エネに対する電力システムの柔軟性は、LNG火力の調整力、揚水発電や蓄電池、需要側調整力および電力市場で十分に対応することができる。

 

意見6

2030年の電源構成:電力需要の大幅な削減(3割程度)および各部門の大幅な省エネを見込むべき

該当箇所

(P3,104〜107行) 

(13)2030年度におけるエネルギー需給の見通し

意見内容

全般に、省エネルギーの見込み量が不十分(案では2割程度)で4割削減を目指す必要があり、電力需要の削減も3割程度を見込むべきである(案では1割程度)。

電力需要の3割削減(7000億kWh程度)により、再生可能エネルギーの割合を50%以上に高め、原発ゼロ・石炭ゼロの場合でもLNG火力の見込み量を現行と同じレベルの3500億kWh程度(50%未満)とすることができる。この原発ゼロ・石炭ゼロの電源構成により、温室効果ガスの排出削減目標も50%以上の高みを目指すことが可能となる。省エネルギーについては4割程度の削減を目指し、特に建築物(家庭・業務)、産業や運輸の各分野で目標を深堀りして、カーボンプライシングや省エネ法などの規制による対策を強化すべきである。

 

意見7

電力システム改革:発送電完全分離(所有権)を進めるべき

該当箇所

(P92, 3091〜3094行)

①脱炭素化の中での安定供給の実現に向けた電力システムの構築に向けた取組

2020年4月に実施された発送電分離により、広域系統運用の拡大、小売・発電の全面自由化及び法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保を柱とする、電力システム改革の一連の工程は基本的に完了した。

意見内容

現状の発送電分離(法的分離)は不完全で、実態としては人・情報・資金が自由に操作できるかたちになっているため、たとえば宮崎県延岡市自治体新電力設立に九州電力が内部情報を使って脅しをかけることが発生している。完全な発送電分離(所有権)を進めるべき。

 

意見8

電力システム改革:配電部門を所有権分離して、地方公営事業に移管すべき

該当箇所

(P92, 3091〜3094行)

①脱炭素化の中での安定供給の実現に向けた電力システムの構築に向けた取組

2020年4月に実施された発送電分離により、広域系統運用の拡大、小売・発電の全面自由化及び法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保を柱とする、電力システム改革の一連の工程は基本的に完了した。

意見内容

配電部門を所有権分離して地方公営事業に移管することで、ドイツで見られるシュタトベルケ(地方公営エネルギー会社)の形態で地域活性化に活かすべき。

 

意見9

電力システム改革:容量市場の見直し

該当箇所

(P75, 2481行など)

(7)火力発電の今後の在り方

容量市場により中長期的に必要な設備容量を確保する。

意見内容

容量市場は、火力発電の維持に使うべきではなく、脱炭素かつ新技術の市場形成となる蓄電池や需要側応答(DR)、再エネに限定すべき。

また、日本型容量市場は非常に高コストで需要家負担が大きく、かつ新電力排除になる不公平な構図であるため、ドイツ型の戦略的予備力、フランスやカリフォルニアの仕組みに倣って、低コストかつ費用効率的で脱炭素技術に限定するべき。

 

意見10

2030年に新築戸建て住宅の最低6割に太陽光発電設備を設置すべき

該当箇所

(P58,1882〜1883行) 

2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す。

意見内容

意欲的な内容で評価したい。ただ2019年の新築戸建てに占める設置割合は28%に過ぎず、FIT価格の減少に伴って伸び悩んでいるのが現状である。そこで60%設置のために、①太陽光の設置を住宅ローン減税の優遇の条件とする。②太陽光のゼロ円設置、PPAやリースに対する補助制度を拡充する、等の具体的な政策を明記し、同施策に関して「※最終的な責任を持って取り組む」国土交通省に年単位の目標達成数値の検証を求める旨を明記すべき。また設置割合の進捗に合わせて、新築住宅の「※太陽光発電設備の設置義務化の検討」を進めるように明記すべき。 

※2021年8月23日、国土交通省「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方の概要」より。 

環境省が2021年3月に発表した「再エネポテンシャルは現在の電力供給量の2倍」の中に占める太陽光のポテンシャルは5041億kwhであり、これは2019年の全電源の年間発電電力量10277億kwhの半分を占める。また、再エネの中でも風力発電は設置に時間がかかることを考慮すると、2030年までの基本計画においては太陽光の、特に安全面でも最も適した新築住宅(+営農型ソーラー)を発射台にすべきだ、と考える。

 

意見11

小型モジュール炉等の新型原子炉の開発は止めるべき

該当箇所

(P112,3753〜3760行)

小型モジュール炉や溶解塩炉を含む革新的な原子炉開発

意見内容

いかに小型化を図っても安全性を高めても、放射性廃棄物は生まれる。また小型化することで多くの原子炉が求められる。将来に向けての投資や人材育成は、既存原発廃炉に集中すべき。日本のみならず国際的にも求められる廃炉先進国を目指すべき。

 

意見12

再生可能エネルギーの出力抑制を止めること。および逆潮を認めること

該当箇所

(33P,987〜988行)

意見内容

これまでのベースロード電源とされた原発や石炭火力の系統への優先接続=先着接続を改め、再生可能エネルギーの無条件の最優先接続を国家が保証し、再エネ電源の出力抑制を禁止すること。また、10kw以上の産業用再エネの逆潮を全面的に認めること。 

やむを得ない出力抑制が生じた場合は事業者に対して全額補償することを求める。

 

意見13

営農型再エネ発電の具体的推進策を

該当箇所

(P17,528〜539行)

平地面積の少ない我が国、化石資源に恵まれず供給不安に直面するリスクを常に抱えている

意見内容

平地を有効利用する営農型の太陽光発電の普及のために、農地の一定割合に導入する義務付けや融資全額保証、利子補給等の金融的な支援を行うべきである。また地産地消の発電は災害時の供給不安にも有効である。

 

意見14

原発が温暖化対策に役立つ、というのは事実に反する

該当箇所

(P34,1050~1053行)

原子力は、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もない。

(P23,714~718行)

2050年カーボンニュートラルを実現するために、~原子力については、~必要な規模を持続的に活用していく。

意見内容

原発はCO2削減に寄与しないばかりか、大量のCO2を排出しており、事実に反することを前提とした文言は削除すべきである。 

自動車の場合「油井から走行まで」でCO2排出量を計算するが、原発の場合「ウラン採掘から運転まで」との計算はされていない。確かに運転時はCO2を排出しないが、ウランの採掘・製錬・濃縮・加工、大量の鋼鉄とコンクリートを使った原発建造、原子炉の冷却の各場面でCO2を排出しており、廃炉、使用済み核燃料の処分によるものを加えると、さらに増量される。 

また原発は原子炉の冷却用の海水を一基あたり1秒間に70トン汲み上げ、7℃上昇させて海に放流している。その水量は全国の原発54基として年間約1000億トンに及び、全国の河川で流れ出る水、約4000億トンの25%に相当する。大気中のCO2は海水に溶け込む性質があるが、「海温め装置」の原発による海水温度の上昇によりC02吸収が妨害されている。

 

意見15

原発事故の避難者の数を過小評価すべきではない。

該当箇所

(P7,204行)(P63,2009行)

2021年3月時点で2.2万人の被災者が事故の避難対象となっており

意見内容

実際に避難している被災者は、福島県内に6,887人、県外避難者は27,998人、合計で34,890人であり、これは福島県災害対策本部発表の今年9月6日の数字。復興庁はいわゆる自主避難の方々をカウントするのを止めたため、実数はもっと多いことを追記しておく。

 

意見16

電気料金を下げて国際競争力を高めるには、原子力発電からの撤退しかない

該当箇所

(P18,569行)(P90,299行)

我が国の電気料金は、国際基準に照らして家庭用・産業用ともに高い状況が続いており、日本の国際競争力を左右しかねない状況にある。

意見内容

日本の電気料金には原発誘致・継続のために国が使った多額の電源立地対策交付金などは含まれておらず、また廃炉費用も含まれていない。電力会社の積立金では全く賄えないことは明白で、40年稼動した原発廃炉費用がいくらになるのかは明らかにされていない。事故を起こした東京電力福島第一発電所廃炉費用に関しては、日本経済研究センターが最初の40年だけで35〜80兆円掛かるとしており、この費用を考えれば、日本の電気料金を安くするためには今すぐ全ての原発を停止する他に道はない。

 

意見17

サイバー攻撃の危険性が高い原発は直ちにやめるべき

該当箇所

(P94,3138〜3149行)

複雑化・巧妙化するサイバー攻撃の脅威が日々高まる中、電力分野においても。サイバーセキュリティ向上に向けた不断の取組みを進めていく。

意見内容

原発に関しては、古くから言われているように上空からの攻撃や落下物に対する備えが脆弱なままであり、東電で発覚した中央制御室へ別人の入館証で入室するなど、セキュリティそのものの認識が疑われる状況である。サイバー攻撃に関しては、今年6月、内閣官房サイバー攻撃対応の訓練情報の流出や構成員の情報流出があったばかり。原発がひとたび過酷事故を起こせば、どのような悲劇が待っているかは記憶に新しい。発電方法として最も危険な原発を直ちに廃炉にすべきであり、また止まっていても燃料棒を近くに保存しているため被害は甚大であることを重く考えるべき。

 

意見18

パブリックコメントの結果の詳細を公表し、タウンミーティングを開催すべき

該当箇所

(P119,3965行)

国民各層との対話を進めていくために、双方向のコミュニケーションを一層強化していく。

意見内容

2013年12月から1ヶ月間行われたエネルギー基本計画のパブリックコメントは約19,000件集まったが、そのうちの94.2%が脱原発を望んでいた。現状維持・推進はたった1.1%に過ぎなかった。経産省パブコメの結果の詳細を広報しないため、朝日新聞が全てを情報公開請求で入手し公表している。国民との対話、双方向のコミュニケーションを謳うのであれば、まずパブコメの結果の詳細を広報すべきであり、経産省が選定した人材ではなく、全国各地で公募しタウンミーティングを開催すべき