国が玄海町に文献調査受け入れを申し入れたことに関する意見
本日 2024年5月3日憲法記念日付けで、「国が玄海町に文献調査受け入れを申し入れたことに関する意見」を、経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 放射性廃棄物対策課に提出しました。
昨日、5月2日午前10時から、特定放射性廃棄物小委員会地層処分技術WG小委員会を傍聴しました。
送付した意見の中には、この会議で話題にされたことに加え、5月1日、経済産業省が佐賀県玄海町に高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定にかかる文献調査実施を受け入れるよう申し入れをしたことに対し、国民として、また、寿都町や神恵内村で国が行った文献調査のとりまとめまでを見守り続けてきた北海道民として
抗議の意見を伝えなければならないと考えました。
※意見内容は、数日前に原子力資料情報室が公表した抗議声明の情報、報道などを参考にし、北海道民としての立場と意見を加えて急ぎ、記しました。
意見内容は主に、高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定に係る文献調査、あるいは概要調査以降へ進むかどうかなどの国家の重要案件について、自治体に打診するような場合、決定プロセスに住民意思が反映されているかと問いかけています。
2020年8月から北海道民として、寿都町と神恵内村の文献調査、対話の会の持たれ方、報道のされ方、そして、現在行われている文献調査とりまとめまでの流れを見守って来た北海道民として、玄海町でも同様の問題(地域の分断、経済活動への影響)に発展する近未来を予見、心配していると記しています。
懸念材料は多くありますが、国民の居住の自由、国民が安全に暮らす権利や個人の尊厳を保証すべく、深地層処分研究にように重要な事案を国が自治体に打診する際には国民意思を軽んじないよう留意することが必須です。
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国が玄海町に文献調査受け入れを申し入れたことに関する意見
2024年5月3日
2024年5月1日、経済産業省が佐賀県玄海町に対し、高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定にかかる文献調査実施を受け入れるよう申し入れをしたことに対し、国民として意見を述べます。
文献調査の申し入れ段階で、国が一方的に国民に理解させ、強引に推し進めようとする所作によって、核ごみの深地層処分という国家事業全体の必要性、妥当性、安全性、技術及び科学的信頼性は、かえって薄れていくように観えます。
本年4月15日、原発立地自治体の議会では初めて、玄海町の町内3団体が町議会へ文献調査実施を求める請願書を提出、4月26日には町議会本会議で9人中賛成6、反対3でその請願が採択されました。
今回の国の申し入れは、玄海町の脇山伸太郎町長に調査受け入れを促す狙いがあるものと推測に易く、また、報道機関も、そのようなニュアンスで報じていました。
玄海町議会や役場に対し、唐津市など近隣自治体、市民団体から受け入れに反対する旨の要望書が提出され、更には、山口祥義 佐賀県知事、大石賢吾 長崎県知事が、同様に反対の立場を表明されました。
数多く反対の声があるのを知りながら、国が玄海町に文献調査の申し入れを行うことで、地域社会の分断や対立を悪化させる可能性を、2020年8月から北海道の事例(寿都町・神恵内村)を見守り続けている北海道民として予見し、心配しています。
玄海町議会は、経産省やNUMOから説明を受けたそうですが、地層処分に反対意見を持つ専門家、研究家、住民を招致せず、請願提出からわずか11日で採決をしたと聞きました。拙速とも言うべき、その意思決定に、住民意思が反映する十分な論議があったのか、甚だ疑問です。核のゴミ最終処分という、国家事業であり、地元にとっても未来を決める重要案件が、住民本位で決められたのか、その判断や決定プロセスが公正に行われたか問われます。
去年8月、同じように文献調査の請願を審議した長崎県対馬市議会が文献調査受け入れに批判的な立場の専門家らを招き、採決まで数カ月かけて議論をされたそうですが、その例と今回の玄海町議会の件は全く対照的に観えます。
また、玄海町のほとんどの地域は、国が作成・公表した「科学的特性マップ」上に塗り分けられた資源のある場所(地図では石炭の埋蔵、採掘の可能性を認めたグレーの部分)となっているため、地層処分の適性として相応しい条件の場所であるとは認められません。そもそも、炭鉱跡地などでは掘削時にガス噴出が起こり得ることから、事故の発生や想定外の事象に発展する可能性が高いのであり、「安全性を重視した上で調査地を選定する」というのであれば、自治体が自ら文献調査に手上げしたとしても、国やNUMOは、むしろ、「厳しく条件を診て、せっかく名乗り出てくれた自治体にお断りをする判断」も、必要ではないかと考えます。
地層処分地選定を前に進めようとするあまり、「相応しいとは認めがたい条件の場所を、適正があるかのように見せかけるような非科学的な絞り込み」をするのは道理に合わず、時間と手間、国費の無駄遣いです。
一般事業の誘致と比較して、原子力関連施設の設置は配慮範囲、事業費全体の額を観ても、大規模な国家事業です。事業に係る慎重な判断をするため、民意を無視せず、出された課題には更に真摯に向き合って、保守的に選定のための条件を満たす努力と無駄のない進め方をすべきです。
現在、寿都町、神恵内村での文献調査のまとめが小委員会で行われていますが、5月2日に持たれた特定放射性廃棄物小委員会地層処分技術WG小委員会で、埼玉大学院 長田昌彦委員が意見したように、概要調査地区の候補として文献調査段階でマイナス要因が浮上した地域周辺は、国やNUMOが自ら、概要調査地区から除外する判断をすることが望ましいと考えます。
アメリカ(カリフォルニア州)で、すでに廃炉した原発、廃炉が決まっている原発の使用済核燃料がどのように扱われているか調べたところ、日本のように細管から出して再処理加工するような手間はかけておらず、一定期間、冷却したのち、柱状にまとめ、原発敷地内に留め置くという簡素な始末をしています。
毒性の高い放射性廃棄物を常に放出する環境汚染を前提として使用済核燃料を再処理し、頑強なキャニスターに詰め直し、オーバーパックの形にしてから、300m以深の坑道に設置するなどという工程の長さ、難儀さを以て、更なる環境への負荷を作り出す処分方法を、わが国の最新の科学の知見と技術による最善策であるとは、認めることができません。
国は再処理事業を含め、核のゴミ最終処分、深地層処分事業に係る法律や決定内容の総てを再考すべきと考えます。いまいちど国民の意見に耳を傾け、無駄で危険な核ゴミの再処理、最終処分方法について国民的議論をし直すことが必要であると、ここに断じます。
国は、憲法にも約束されている居住の自由、国民が安全に暮らす権利や個人の尊厳を保証すべく、深地層処分研究にように重要な事案を自治体に打診する際には、住民意思を軽んじないよう留意することは必須です。
玄海町の文献調査受け入れを申し入れた国に対し抗議するとともに、寿都町、神恵内村の文献調査委以降に進むかどうかの判断が、自治体住民本位に進められるよう、決定プロセスに民意が十分反映されるための手続きに配慮されますよう、強く念願します。
以上
ベクレルフリー北海道