山本行雄弁護士の著作「10万年のうそ」を読みました。
著者である山本さんも、核ごみ最終処分選定の手順の中で「法的根拠」は全くない 、
このままでは、法に拠らない拠らない行政の暴走を許すことになる と、
この本の中で、そう結論づけています。ともかく、深地層処分計画は「出鱈目だ」という印象。
我が国の「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」には、
処分地選定の手続きについて具体的な措置や、自治体が調査を取りやめたい場合の手順について
「調査の段階が進むにつれて新しい法律が出来たり、法改正などがされていくでしょう」
などと言っている程度で、法律自体、未来に確約されたものでもないことを示しています。
政府との会合や交渉の場で常に経産省が「回収可能性」とか「可逆性」などと言い続けていますが、
「概要調査から精密調査、その後のどの段階でもその地域や自治体の意向が変わった場合、
坑道をふさぐ寸前まで最終処分となることを拒否できる」と説明していたことの裏付けにはなりません。
その逆に、この法律の条文を詳しく観ても、
「一度手上げをしたら二度と止められず、最終処分になってしまう」とまでは裏付けられておらず、
解釈の仕方で双方の受け取り方が違うことになるため、
「法律にハッキリと明示してある」とまでは言えないということになります。
著者も本の中で最終処分に関する法律に対し、その程度のものであると結論づけています。
そういう訳で、著者は116page以降から、最終処分法の廃止し、分からないものは研究する方針に
転換していくべきというお考えを示しています。
寿都町長には、調査応募後の取り下げができると「国に確約してもらった」と言いましたが
同日受けたインタビューで、梶山大臣は曖昧な返答しかしておらず、
「確約」は片岡さんだけの認識なのだろうと思いました。(可逆性は担保されていない)
著者は本のあとがきで、まとめとして「ものに応じた対応」と「法を生み出す力」という
キーワードを示しています。著者は法律家として不適切な原子力政策や関連する現行の法律が
故意に不完全に書かれていることを指摘しています。
ですから私たち市民運動も、法に記された曖昧な言葉を都合よく解釈して一喜一憂するのではなく、
悪法を廃止にする動きを作るためにどうしたら良いか知恵を絞る必要があると思います。
(私は法律を作るのは代議士の仕事なのでロビーイングが大事と思い、会合を主催し始めました)
核ゴミに関する政府との会合でやり取りしてきた「言質」を振り返りながら、
大変有用な本を書かれた山本行雄弁護士の講演を聴きたいと思います。
10月29日に 札幌で講演会があります。