北海道原子力防災訓練「意思決定訓練」参観報告
道民視察団Tさんの報告2月6日①
道庁での原子力防災・意思決定訓練を視察報告
道庁での訓練は、道庁各担当班や自衛隊、北電、開発局、報道機関などが詰めるＢ1階の災害対策本部指揮室と、知事、配備責任者などが集まる3階知事会議室隣TV会議取材のマスコミ
は主に3階中心で一部がB1までやってくる程度、その他参観者はB1での参観と決まっているようで、5,6名の「評価員」の腕章をした部外者風の人たちと訓練パーソナルか参観か不明のJAEA数名のみで、フリーランスや一般市民風は他には誰もいず、 OFC会場のようなエリア規制や立ち入り禁止表示始め参観者誘導、指示なども何もありませんでした。
訓練時間は9時から16時とされていますが、
実質は①9時から10時前まで実施の原子力緊急事態宣言後という想定の「第1回原子力災害合同対策協議会」（OFC、道庁、13自治体首長参加）「第3回災害対策本部員会議」 （（道庁、OFC、後志総合振興局長参加）および指揮室内の状況確認の打合せと、
②12時半から13時過ぎまで実施の48時間後のUPZ一時移転決定後という想定での「第9回原子力災害合同対策協議会」「第8回災害対策本部員会議」および指揮室内の状況確認の打合せ訓練で、その他の時間は散発的に各機関との電話連絡訓練が続く程度で全体としての動きはないようなので退出しました。
午後からの参観者は「評価員」もJAEAも現れず、一時2社ほど現れたマスコミと道庁側の記録撮影班以外は私一人の状況でした。
それぞれの会議、打合せでの報告内容は訓練シナリオ上の想定を書いた文書をそのまま朗読する儀式との印象で、法律の想定する避難決定までの手順、考慮すべき項目等の習熟という点では多少の意味はあるだろうけれど、「意思決定」の面での訓練要素は皆無と感じました。（特にTV会議で流れる3階での本部員会議の内容。逆に指揮室内の打合せの後では一部自主的な想定細部再確認、チェックなども行われてはいました）
より問題を感じたのはその想定シナリオ自体で、冬季訓練の性格上想定災害が雪害に絞られてしまい、より対処困難な地震、津波災害が一切含まれないのは巧妙な想定逃れとも感じます。
冬季配慮というなら渋滞等の把握にヘリやドローンの利用を挟るが暴風雪下でこれらが使えない事態は十分考えられるのにその影響、バックアップ対策は何も触れられていないのは納得できません。
さらに「全面緊急事態」の訓練、外部への放射能漏洩を想定した訓練と謳いながら、その詳細をみると、非常用炉心冷却装置の不具合で炉心が損傷し大気中への放射能漏出を想定しながら、緊急時モニタリングでUPZの一時移転基準以上の線量が観測される時点には（偶然？）その漏出も収まるというなんとも都合のよい想定で呆れました。これは単なる恣意的設定以上の副作用及ぼすものと感じます。
その結果はどうなるかというと、線量が基準を超えたので一時移転はするが、放射能漏出自体は収まったので安全第一、個人の判断での自主避難などもっての外、行政の出す正しい情報に従って整然、粛々と避難しなければなりません。ということが各所で強調されます。
こういう、判断時の不確定要素を排除した想定で行われる「自主判断は悪、パニック抑制が正義」という空気を無意識に刷り込むような避難訓練が職員、住民両方に植えつけるものが、実際の事故で情報不足で不確定な判断を求められた場合に何をもたらすかを想像すると、その有害は大きいと感じざるを得ませんでした。
当日の訓練状況の記録と共に当日配布資料の一部も、特に訓練シナリオに関する部分中心に画像添付しますが、全体では5部、A4で90ページ近くになりますので何らかの方法で別途共有できればと思います。
その2へ続く
リポート②
その2、当日配布資料の一部です。
昨日も議題にした意思決定訓練での事故想定と実働訓練の想定の食い違いの問題、
意思決定での雪害想定に当丸峠道道998雪崩通行止めが明記されている資料がなくなりましたのでそれも含めます。（最初のもの）
撮影数を節約するため内容の関連のない資料を2枚添付以外の資料の中にも一時移転の決定要因、緊急時モニタリングの実情など、細かく読み解けば他にもまだいくつもの疑問点が必要れそう逐次撮影したため、つながりが分かり難くて申し訳ありません。な気がします。
※6日の事故想定では当丸峠は道が閉ざされている。
しかし、13日の実働訓練ではこの道を使って訓練に参観するバスや一般車両が集会所などへ移動している。（2月26日に原子力安全対策課に質問）「時間制限の中で」訓練場所を観たいため」という、避難訓練としてはあるまじき、理由で想定を無視した移動をしている。
