北海道での「放射性物質汚染対処特措法」適用に反対する声明
2021(令和3)年11月15日
福島県汚染廃棄物対策地域から北海道室蘭市への高濃度PCB廃棄物持ち込み及び
北海道での「放射性物質汚染対処特措法」適用に反対する声明
ベクレルフリ―北海道
本年、令和3年11 月2日、3日両日に室蘭市で行われた住民説明会において、環境省は、福島県汚染廃棄物対策地域(元帰還困難区域等)から室蘭市へ移送されるPCB搬入物について、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(以下「放射性物質汚染対処特措法」と略す)を適用した処分であることを示しました。
「放射性物質汚染対処特措法」において、「原子力事故によって生じた8000ベクレル/kg以下の放射能汚染ゴミを通常移出される一般ごみと同様に処分することができるとする条件は、「原発敷地内から発生したものに限らず、すべての100ベクレル/kg以上の廃棄物は、厳重に保管・処分される」と原子炉等規制法で定められた規定とは、矛盾するものです。
規制法の基準値の80倍である8000ベクレル/kgに対し、100ベクレル/kg というこの基準を、東電福島原事故から10年以上も経過したいま、放射能の影響をほとんど受けなかった北海道地域で適用するとしていること自体、法の乱用であり、断じて許されるものではありません。
本来、「放射性物質汚染対処特措法」とは、福島原発事故により大量の放射性物質が放出され、原発周辺と福島県やその近県に降り注いだ放射性物質について、原子炉等規制法を超える状況に至ったために作られた臨時措置的な法律でした。
国はそもそも、放射性物質を発生した場所に止め置くという基本を守らず、この事業の安全性だけを北海道室蘭地域の住民に対して一方的に理解させようとしています。年間1ミリシーベルトの追加被ばくを住民が受ける可能性が否定できないのに、甘い規制基準や、該当するとは認めがたい法を根拠とした説得だけをし、住民が拒否する権利を侵害する非民主的で強引な国と事業者の姿勢を認める訳にはいきません。
今後、国内に存在している膨大な量に及ぶあらゆる区分の放射性廃棄物の管理、処分、移送、加工、埋設にかかる経過の中で、想定を超えた影響が判った際の責任所在、賠償措置範囲や額、期間などが曖昧なまま、このような措置を進めることは、北海道だけでなく、全国各地への無闇な放射性廃棄物のばら撒きや、安全性が問われる事業の地域持ち込みの前例となることが危惧されるため、福島原発の汚染PCB廃棄物の室蘭市への搬入は断固として反対します。また、国が「放射性物質汚染対処特措法」を適用する根拠には無理があり、到底、納得することはできません。
即時撤回を求めます。
以上