北海道電力は25日、札幌市内で定時株主総会を開き、泊原発(後志管内泊村)の閉鎖などを求めた株主提案の6議案を反対多数で否決した。株主から再稼働が見通せないにもかかわらず核燃料を調達していることに疑問の声が上がったのに対し、北電側は長期契約に基づいているなどと説明。藤井裕社長は総会後の記者会見で「再稼働ができれば全て消費できる」と強調した。
北電は総会で、原発が発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない重要な基幹電源だと説明。「泊原発は燃料供給の安定性や、長期的な価格安定性を有している」と訴え、早期再稼働に全力を尽くすとした。
泊原発は全3基の停止から9年以上が経過したが、原子力規制委員会による安全審査が長期化し、再稼働の見通しは立たない。一方、過去の決算書によると、毎年度100億~200億円程度の価値の核燃料を調達しているとみられる。北電は「安定的な燃料確保の観点で長期契約している」と理解を求めた。
株主からは「再稼働できなければ核燃料はどうなるのか」「廃棄の費用がかさむのではないか」と懸念の声が相次いだが、北電は「再稼働しなかったらという仮定の質問には回答を控える」とかわし、具体的な契約年数なども示さなかった。
会見で藤井社長は「原発を最大限活用することが重要だ」と述べ、核燃料の調達については「今の数量を落とすような格好で、契約は残すことが大事だ」と話した。
北電は新型コロナウイルスの感染防止対策として、総会への出席見合わせを求め、出席者数は昨年比4人少ない64人、開催時間は同3分短い1時間20分だった。株主は使用済み核燃料を道外に持ち出さず北電が保管することなども提案していたが否決された。取締役選任など会社提案の4議案は可決された。(田中雅久)
北海道電力が株主総会 “核のごみ”を自社で処分する提案も
北電は、25日、株主総会を開きました。株主からは泊原発の使用済み核燃料を道外に持ち出さず、処分するよう求める提案が出ましたが、反対多数で否決しました。 泊原発の使用済み核燃料は、現在、原発内のプールで保管されています。 北電が、25日、開いた株主総会では、株主39人が使用済み核燃料を道外に持ち出すことは、ほかの都府県にとって「身勝手な行為だ」などと指摘。北電が自社で処分するよう提案しましたが、反対多数で否決されました。 また、泊原発の維持にかかる費用が、北電の経営を悪化させていると主張し、泊原発の閉鎖を求める議案も提案されましたが、同様に否決されています。 6月25日(木)「今日ドキッ!」午後3時台