becquerelfree’s blog

NO NUKES,ONE LOVE

【経産省からの回答】神戸製鋼所の製品・材料で検査データの不正に関する質問

2月9日に行われた核ごみに関する政府との会合には神戸製鋼所やこの事業の事業主体である経産省の担当部署職員が来なかったため、このときの質問を福島みずほ(参議院議員社会民主党)事務所を通じ、再質問していた。経産省からの回答が寄せられたため、

以下に紹介する。

 しかし、偏見を取り除いて読んでも、回答の内容は主に「事業社は適正に行うと言っている」とするものであり、これが放射性廃棄金属加工事業を委託した経産省の正規の回答だとするとあまりにも情報不足なのではないかと批判したくなる内容。データや数値を示さずただ「安全」とするのは、原子力関連事業ではよくあることなのだとしても、今回の改ざんによって室蘭の「鉄冷え」は一層進むことが予見できる。

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経産省への質問内容】
質問①:昨年、神戸製鋼所の製品・材料で検査データの不正が発覚し、原子力施設への使用もあったが、データ改ざんに至った経緯やその調査結果について、神戸製鋼所は、いつ、どのような報告を経産省にしたのか。報告内容を提示してください。

質問①に対する回答:

昨年11月10日、神戸製鋼所による自主点検や緊急監査等の結果を踏まえた報告(①)、今年3月6日、外部調査委員会による調査結果等を踏まえた最終報告(②)を受けております。報告内容につきましては、同社HPよりご確認いただけますのでURLを下記に添付いたします。

①11月10日:当社グループにおける不適切行為に係る原因究明と再発防止策に関する報告書
http://www.kobelco.co.jp/releases/files/20171110report.pdf
※プレスリリース
http://www.kobelco.co.jp/releases/1197967_15541.html
②3月6日:当社グループにおける不適切行為に関する報告書
http://www.kobelco.co.jp/releases/files/20180306_report.pdf
※プレスリリース
http://www.kobelco.co.jp/releases/1199080_15541.html


質問②:このようなずさんな情報処理、製造を行っている神戸製鋼所が、北海道内で放射性金属加工事業をしており、住民に対して「安全である」として説明を続けているが、一部、放射性トリチウムの説明なども科学的に十分とは言えないと、住民説明会の場で参加者から何度も指摘を受けている。神戸製鋼所および、神戸製鋼所の製品への信
頼性が揺らいでいる中で、こうした放射性金属加工事業を継続されることに抵抗を覚
える道民もいる。地域住民(室蘭市周辺住民)に対して、昨年6月28日に室蘭で開催された説明会の場で、どのような説明をしたか内容を明らかにして頂きたい。

質問②に対する回答:
昨年6/28の事業報告会では、事業者が、平成28年の事業成果および平成29年
度の事業計画について説明したと聞いております。
また、平成28年度の事業成果により、原子力発電所の解体等により発生する廃棄物
原子力発電所や一般社会で安全に再利用するための基準であるクリアランスレベル
以下の金属を加工しても
①    周辺の線量に変化がないこと、
②    加工して試作した廃棄物を封入する容器の放射能濃度がクリアランスレベル
以下であることを確認した旨を説明したと聞いております。


質問③:経産省ならびに、電気事業連合会は、データ改ざん問題について放射性金属廃棄物の加工をする事業主体である神戸製鋼所に対して、どのような指導、改善命令、あるいは業務上のペナルティなどを課したのか、明らかにして頂きたい。

質問③に対する回答:

経済産業省が実施した放射性廃棄物の最終処分に関する研究開発において、一部の
データ取得を担当していた神戸製鋼所の子会社であるコベルコ科研がデータの改ざん
やねつ造を行っていたことについて、3月5日に、神戸製鋼所及びコベルコ科研に対
し厳重注意を行いました。
コベルコ科研が関与した報告書の一部に修正が必要となるため、今後、必要に応じて
再試験を実施するなど適切に対応してまいります。


質問④:室蘭市で行われている東海村廃炉によって出された放射性金属廃棄物の加工事業は、神戸製鋼所日本製鋼所との共同事業として3ヵ年計画で行われていると、第6回会合で説明があった。神戸製鋼所が、報じられたような問題を起こしているが、共同事業者である日本製鋼所に対して、どのように説明がなされたのか明らかにしてもらいたい。
質問④に対する回答:

神戸製鋼所から日本製鋼所に対して「本委託事業において当社および当社グループ会社による不適切行為がなかったことを確認した」との説明があったと聞いております。


質問⑤:また、同様の事例が日本製鋼所の製品、または試験等でも起こり得るのではないかとの住民の危惧する声もあるが、「放射性金属廃棄物の加工」の神戸製鋼所との共同事業者である日本製鋼所として、住民への説明をしたか明らかにして頂きたい。

質問⑤に対する回答:
「当社では不適切行為が確認されておらず、今後も、同様の事例が起こらないよう、
引き続き万全な品質管理に努めていく」と日本製鋼所から聞いております。
同社からは、「3/22の事業報告会(室蘭市)で、住民の方々にその旨を伝える予
定」と聞いております。

 

以上

関連情報

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核のごみ 受入拒否条例決議 北海道 遠別、浜頓別、美瑛町も 

原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場をめぐって、道内自治体では受け入れ拒否の意思表示が始まっている。本年に入っては、3月14、15日には遠別、浜頓別の両町議会が相次いで拒否決議案を可決した。
また、美瑛町でも3月16日の町議会で「核のごみを持ち込ませない」とする条例案が可決される見通しだという。

毎日新聞ウェヴ版記事を参照)
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 最終処分場が造られる可能性のある地域について、「科学的特性マップ」として国が昨年7月に公表。道内では沿岸部を中心に86市町村が「最適地」とされた。国は各地で住民向け説明会などを始めており、今後、複数の自治体に処分場選定に向けた第1段階となる文献調査を申し入れる方針を示している。

 こうした状況を受け、今月14日に遠別、15日には浜頓別の各町議会で、処分場の受け入れを拒否する決議案が相次いで可決された。それぞれ、地震多発国で10万年といわれる長期間の安全な「核のごみ」保管が可能かと疑問視し、道の「核抜き条例」に基づき受け入れ拒否を表明している。両町は、最終処分の技術を開発する日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターがある幌延町に近い。

 美瑛町では16日の町議会で、核のごみなどの放射性廃棄物を持ち込ませない条例案が提案され、可決される見通し。4月1日施行で、罰則はない。道内自治体では幌延町に次いで2例目。

 農業や観光が基幹産業の美瑛町は核のごみとは共存できないなどとして、「受け入れ難い」とした道の核抜き条例より踏み込み、条例案に、放射性廃棄物の町内への持ち込みや処分場に関する調査や建設を受け入れないことなどを明記した。(毎日新聞

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「大間原発建設差し止め」請求訴訟

大間原発建設差し止め」請求訴訟 裁判の判決


訴訟の会・事務局では、当日のスケジュールを次のように予定しています。
2018年 3月19日(月) 午後3時  判 決 
(函館地裁・浅岡千香子裁判長)


3月19日(月)
午後1時 合同弁護団会議(函館弁護士会館2階)
裁判の傍聴希望の方は、道路向かいの 函館パークホテル2階広間にて受付 
午後1時30分 傍聴券の抽選(会員の方を優先します。)
午後2時 裁判所が、一般傍聴の整理券を配布(予定)
[どちらかの抽選に当たった方のみ、傍聴できます。]
               
[抽選にはずれた方は、函館パークホテル2階広間にてお待ち下さい。]
午後2時30分 入廷行動(横断幕も)
午後3時 判決言い渡し
(地裁前で速報をお待ちの方は、温かい服装をご用意下さい。)
午後4時ころ 記者会見及び報告会を 函館パークホテル2階広間にて行います。会員の方々も、是非ご参加下さい。

大間原発訴訟の会

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ジャイタプール原発建設計画を推進するフランス大統領のインド訪問に抗議する国際連帯声明

https://www.facebook.com/DiaNuke.org/

「ジャイタプール原発建設計画を推進するフランス大統領のインド訪問に抗議する国際連帯声明」

この抗議声明に賛同して署名した世界中の個人および団体は、フランスのマクロン大統領がこのたびのインド訪問中にジャイタプール原発建設計画のための枠組み合意に署名することに強く抗議しているインドの人々に連帯の意を表明する。

この原発計画は、農民、漁民、女性や子どもなど、マハラシュートラ州コンカン地方の数万人の人々の暮らしを破壊の危機に追いやるものである。ジャイタプール原発計画が実行に移されれば、165万kWのEPR(欧州加圧水型炉)が6基立ち並ぶこととなり、世界最大の原発密集地帯となる。この計画は、いかなるコストベネフィット分析も、安全性や社会に与える影響や原発で発電される電力のコストなどに関する包括的な分析も、なにも行なわれないままにインド政府によって認可されたものだ。

2008年8月の原子力供給国グループ(NSG)会合の直前に、インド政府は外交的な支援への見返りとして、フランスから原子炉を購入すると発表した。原子力推進勢力の幹部を含めて、インド政府はそれ以来、海外のサプライヤーの利益に便宜を図るために、このプロジェクトを実現しなければならないと主張し続けてきた。ジャイタプール原発計画を既成事実化したインド政府は、予定地のコミュニティの人々による大規模で平和的な抗議行動を暴力的に弾圧し、過去には抗議する人々を殺したり逮捕したりしてきた。また政府は、環境に関する許可や土地取得に関して民主的に必須とされている諸手続きをめちゃくちゃにして暴力的な茶番劇へと転化させた。いつもきまって、地元の民衆の同意は、公聴会の際に武力で脅されながら取り付けられるのだ。

ここ数年の国際的な原子力産業の凋落、フランスの原子力規制機関による深刻な安全性への懸念、そしてフィンランドや中国やフランスでEPR建設がコスト的に予算を大幅に上回り、時間的にも遅延をくり返している事実。こうした事柄にもかかわらず、ジャイタプール原発計画という強迫観念が、これまで変更されることがなかったことは、ショッキングなことである。

元インド原子力規制委員長など独立した専門家がジャイタプール原発計画における安全性の懸念を表明しているが、インドの原子力エリートたちが完全に透明性と説明責任を放棄してしまっていることから、こうした懸念は高まる一方である。

皮肉なことに、マクロン大統領は3月11日にインドを訪問しようとしている。この日は、福島第一原発事故から7年目にあたる日である。日本では福島原発事故によって今も数万人の人々が避難を強いられ続けているが、電力会社も日本政府も彼らに対する支援からいかに手を引くかを考えることに躍起になっている。福島事故は、原子力技術が本来的に危険なものであること、原発事故は克服不可能なものであり、その結果は決して消し去ることのできないものであることを明らかにした。

私たちは、インド政府に対して、福島原発事故から教訓を学び取り、危険な原発を自国の人々に押しつけることをやめるべきであると訴える。EPRの悲惨な財政的失敗と否定のしようもない安全上のリスクにもかかわらず、ジャイタプール原発計画を推し進めようとするフランスの原子力産業による、冷淡な儲け至上主義に対して私たちの苦悶の思いを突きつけたい。

フランスの大統領はインド訪問中に自身の自叙伝を発表するという。その中で彼は、インドとマハトマ・ガンジーに対する愛を綴っている。私たちはマクロン氏に対して、繊細な自然環境と基本的な人権を守るためにジャイタプールにおいてこの10年間行なわれてきた非暴力の抗議行動に対して耳を傾けるよう強く要求する。

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> NNAFJおしらせ(拡散希望・重複ご容赦)

■署名「原発輸出に公的資金を使わないでください」

日立の子会社であるホライズン・ニュークリア・パワーが、イギリス・ウェールズでウィルヴァ・ニューイッド原発建設計画を進めています。このプロジェクトには政府が100%出資する国際協力銀行による融資や、日本貿易保険による付保が検討されていると報道されています。国民にリスクを転嫁し、また東電福島第一事故が収束しない中、原発輸出をすすめることは、倫理的にも社会的にも許されません。現地でも反対の声が上がっています。緊急署名に是非ご協力ください! ※呼びかけ:FoE Japan

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原子力に価格優位性がない

原子力の発電コストを他の発電方法と比較した結果
LNG火力が最も安価であり、原子力に価格優位性がない

原子力資料情報室の松久保さんからの情報(転載)

 原子力資料情報室が、経済産業省総合資源エネルギー調査会の2014年発電コスト
試算に基づき、2016年における原子力発電、石炭火力発電およびLNG火力発電の
発電コストを計算したところ、2014年試算では原子力10.1円/kWh~、石炭火力
12.34円/kWh、LNG火力13.72円/kWhでしたが、2016年時点では原子力10.54円~、
石炭火力11.35円/kWh、LNG火力8.58円/kWhとなりました。

 また原子力の発電コストについては、東京電力福島第一原発事故の事故処理費
用等の更なる増額があった場合には11.98円/kWh以上、米国並みの原発建設コス
トを見込んだ場合には13.58円/kWh以上、事故発生頻度を過去実績に即して計算
した場合には12.26~15.14円/kWh以上となりました。

 当室の計算から、経済産業省の試算に基づいて計算した場合でも、2016年時点で
LNG火力が最も安価であり、原子力に価格優位性がないことが明らかになりま
した。2014年発電コスト試算は、当時高騰していた資源価格を用いたため、LNG
火力や石炭火力などの発電コストを過剰に見込んでいます。一方、原子力の発電
コストは賠償費用等を過小に見込んだため、低すぎる見積もりになっています。

 現在、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会では新しいエネルギー基本計画
の検討を行っています。経済産業省は基礎的な資料として将来の発電コスト見通
しを提示するべきです。

 詳細は下記をご確認ください。何卒ご査収の程よろしくお願いいたします。

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NPO法人原子力資料情報室 プレスリリース原発発電コストはLNG火力発電コストを上回る
―2015年発電コスト検証ワーキンググループの計算に基づく―

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 資源エネルギー庁はウェブサイトに「原発のコストを考える」というコラムを
掲載している1)。このコラムで資源エネルギー庁は、2015年の発電コスト検証
ワーキンググループ(以下、検証WG)の報告書2)を元に、原発の発電コストを
「火力や再エネ発電より高くなることはなく、発電コストの面で原発に優位性が
あることに変わりない」と説明している。
 検証WGの試算は2014年に発電プラントを新設した場合の総費用を、建設したプ
ラントが発電する総電力量で割る、モデルプラント方式と呼ばれる方法で求めら
れた。この時は表1の通り原発が最も安価な電源であるとされた。
 ところで、検証WGでは例えば原発の追加安全対策費2倍の場合、発電コストは
kWh当り0.6円上昇するなどといった感度分析が示されていた。そこで感度分析を
用いて2016年時点の原発、石炭・天然ガスLNG)火力の発電コストを試算した。
●石炭火力・LNG火力の発電コスト
 まず、2016年の石炭火力とLNG火力の発電コストを試算する。2014年の試算に
おける石炭火力とLNG火力の発電コストを分解すると表2の通りとなる。また、感
度分析から発電コストは、10%の資源価格の変動で石炭は±0.4円、LNGは±0.9円
変わるとされている。
 検証WG試算では資源価格は、2014年平均の日本通関CIF(Cost, Insurance and
Freight、コスト・保険料・運賃込み) 価格が用いられ、石炭は97.64$/トン、
LNGは842.43$/トンだった(105.24円/ドル換算)。一方2016年平均のCIF価格は、石
炭は73.59$/トン、LNGは 361.52$/トンだった(108.92円/ドル換算)。それぞれ24.6%、
57.1%価格が下落している。そのため、2014年時点の試算からは、それぞれ0.99円
/kWh減、5.14円/kWh減となる。結果、2016年モデルプラントの発電コストは、石炭火
力が11.35円/kWh、LNG火力が8.58円/kWhとなる。
原子力の発電コスト
 検証WG試算の原子力発電コスト内訳は表3のとおりだった。また感度分析では、
追加的安全対策費が2倍になると0.6円/kWh増、事故廃炉・賠償費用が1兆円増で
+0.04円/kWh増になるとされた。
 検証WG試算では、追加的安全対策費は当時見積もられていた1,000億円/基のう
ち、新設時の必要分は6割の601億円/基とされた。また事故廃炉・賠償費用は見
積額12.2兆円を、出力規模や人口などで補正した9.1兆円としている。
 一方、2016年6月時点では、追加的安全対策費は新規制基準に申請した26基で
計約3.3兆円3)と見積もられているため、1基あたり1,269億円となる。うち6割
が新設時の必要額とすると、762億円/基が追加的安全対策費となる。2014年時点
からは27%増のため、発電コストは0.16円の増加となる。
 また経済産業省が2016年12月に示した福島第一原発事故による損害費用の見積
もりは総額21.5兆円だった。これを2014年試算と同様の比率で補正した場合、16
兆円になる。そのため、2016年での事故廃炉・賠償費用は2014年時点との差額で
ある6.9兆円分、つまり0.28円の増加となる。
 しかし、わずか2年で福島第一原発事故による損害見積額が9兆円増加したこと
からもわかる通り、損害額は過小評価の恐れがある。なお、日本経済研究センター
が2017年3月に発表した試算4)によれば、事故廃炉・賠償費用は、汚染水を海洋
に希釈放出した場合で49.3兆円、汚染水を処理した場合は70兆円とされている。
この場合、それぞれ1.1円、1.72円の増加要因になる。結果、2016年モデルプラ
ントの原発発電コストは経済産業省が試算した損害費用21.5兆円の場合で10.54
円/kWh以上、損害費用が70兆円の場合は11.98円/kWh以上と見積もることができ
る。

●検証WG試算に含まれていない費用
 検証WG試算には多くの問題点がある。たとえば、資本費の大半を占める建設費
原発の場合、4,000億円/基と見積もられており、欧米の実績である1兆円/基と
大きな差がある。事故発生頻度についても追加安全対策が進んだため、4,000炉
年5)に一度とするが、過去実績は世界の過酷事故頻度が約2,900 炉年に一度、
国内では約500炉年に一度であり、大幅に事故発生頻度を低く見積もっている恐
れがある。
 そこで、米国のEIA(エネルギー情報局)が2017年4月に発表した各種電源によ
る発電コスト比較6)から、原子力の資本費を引用し、また事故発生頻度につい
ても2011年のコスト検証委員会で用いられた2,000炉年として、事故廃炉・賠償
費用21.5兆円と70兆円のケースを算出した。ただし、EIA試算と検証WG試算では
炉型や含まれる費用など想定が異なる点が多い。またEIA試算は2022年に稼働し、
30年間稼働率90%であった場合、原発の資本費は70.8$/MWhとする。検証WG試算
は40年間、稼働率70%が前提のためこれに揃え、2016年時点の為替レートで換算
した。結果、原発発電コストは12.26~15.14円/kWh以上となる。
 また、検証WG試算には東京電力福島第一原発事故の事故処理・賠償費用は含ま
れていない。しかし、2017年に経済産業省は、原子力損害賠償支援機構の一般負
担金の「過去分」2.4兆円を2020年から40年間、託送料金に上乗せして、全ての
電力消費者から徴収することとした。少なくともこの過去分費用は将来の原発
発電コストとして加算されるべきものだろう。2.4兆円を40年で回収するため、
年間の回収費用は600億円となる。仮に40基の原発がそれぞれ年間70億kWh発電す
ると想定した場合、kWh 当り0.21円/の増加要因となる。結果、原発発電コスト
は12.47~15.35円/kWh以上となる。
●まとめ
 検証WG試算を用いて2016年時点の発電コストを計算したところ、検証WG試算に
準拠した場合でも、LNG火力が最も安価になることがわかった。
 2014年時点の資源価格で行った試算はLNG火力や石炭火力のコストを過剰に見
込んだ可能性が高い。一方で、原子力の追加安全対策費や事故廃炉・賠償費用は
増加の一途をたどっている。欧米の原発建設コスト高騰をかんがみても、検証WG
試算での原発コストは過小見積もりであったことは明らかだ。加えて、原発事故
がもたらす被害の多くは金銭に換算できないことを忘れてはならない。
 現在、経済産業省はエネルギー政策の基本的な枠組みを定める「エネルギー基
本計画」の改定作業に取り掛かっている。世耕弘成経済産業相は2014年策定のエ
ネルギー基本計画を踏襲する方針を示しているが、エネルギー基本計画の改定を
行う前提条件として、少なくとも現時点での発電コストの見積もりを実施するべ
きだ。

1) www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/nuclear/nuclearcost.html
2) www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/m
itoshi/cost_wg/pdf/cost_wg_01.pdf
3) 2017年7月8日付朝日新聞,「原発安全対策費、電力11社3.8兆円」
4) www.jcer.or.jp/policy/pdf/20170307_policy.pdf
5) 炉年とは、各原発の稼働年数を合計したもの。仮に50基が1年稼働した場合は50炉年となる。
6) www.eia.gov/outlooks/aeo/pdf/electricity_generation.pdf

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松久保 肇  事務局長、研究員(国際担当) 認定特定非営利活動法人 原子力資料情報室 Citizens' Nuclear Information Center 〒162-0065 東京都新宿区住吉町8-5 曙橋コーポ2B TEL.03-3357-3800 FAX.03-3357-3801 URL: http://cnic.jp/ =========================================

室蘭市での 経産省委託事業「東海原発の放射性金属加工事業」に関する説明会 平成30年3月22日

室蘭市での

経産省委託事業「東海原発の放射性金属加工事業」に関する説明会 

平成30年3月22日 19:00~

東海原発廃炉金属を加工する事業は3年前に開始され、一度は放射性廃棄物を入れる余裕深度処分用の容器製造試験が行われましたが、すでに神戸製鋼所敷地内にスクラップとして置かれていると、昨年、電気事業連合会への電話での聴き取りで判りました。

しかし、昨年は、その神戸製鋼所の試験データ改ざんなどが発覚し、発表した回答への信頼性が揺らぎました。これまで平成28年、平成29年の6月に事業に対する説明会がありましたので、今回は3度目となります。(東海原発からの放射性金属搬入は平成28年7月)

 

日本製鋼所神戸製鋼所は、平成27年度より経済産業省委託事業「原子力発電所等金属廃棄物利用技術開発」として、原子力発電所の廃止措置で発生する再利用可能金属(クリアランス金属)の再利用技術開発を行っています。

平成28年度の結果と平成29年度の計画について

http://www.fepc.or.jp/nuclear/haishisochi/clearance/pdf/nucl_haishi_cle_state13.pdf

 

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