becquerelfree’s blog

NO NUKES,ONE LOVE

室蘭市報告会「原子力発電所等金属廃棄物利用技術開発」

金属再利用技術開発報告会

6月28日 室蘭市文化センター

日本製鋼所は6月28日、廃炉になった原子力発電所の再利用可能金属で製品を造る事業に関する報告会を室蘭市文化センターで開いた。法定の「クリアランスレベル」(年間10マイクロシーベルト以下)の金属60トンが、7月7日に室蘭製作所に搬入されます。

2015~17年度の3カ年計画日本製鋼所神戸製鋼所経済産業省から受託する事業に関する報告会が持たれました。
2016年度は再利用可能な金属を溶かし、低レベル放射性廃棄物の一時保管容器(余裕深度処分用)が合計3個製造される事業予定です。

室蘭港の日鋼岸壁に船で7月7日に運ばれる予定である材料の金属は、東海発電所茨城県)の燃料取替機の移動に使われたレールなど原子炉本体ではない主に放射の汚染レベルの比較的低い金属廃棄物で、運搬船の13カ所で積み込み前後に計3回、放射線量を測定するとしています。

漁協や周辺の町会関係者らに対し、搬入当日に放射線測定の様子などを見てもらうよう依頼する予定。(7月2日に市民運動が申し入れたが、選抜は日本製鋼所がするとして断られました。)


 この日の説明会には市民らが39人参加し、事業を委託された日本製鋼所神戸製鋼所電気事業連合会中部電力社員が説明)、日本原電の職員が説明にあたり、質疑の時間が持たれました。

 

 7日7日はあと数日後に迫っているため、まとめきれていなくて甚だ不十分ですが、

とり急ぎ、問題点や関係資料を以下に紹介します。 ベクレルフリー北海道

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http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/rw/library/2015/27fy_kanri_kinnzoku.pdf

平成27年度 管理型処分技術調査等事業 原子力発電所等金属廃棄物利用技術開発

やはり、これは道内への事実上、放射性物質の道内持ち込みであり、労働者被曝、希ガスによる内部被ばくを伴う環境汚染ではないかとのヶ年を禁じ得ません。

 8000ベクレル/㎏としているクリアランスレベルに適合した金属廃棄物が今回の事業の対象になるのであり、セシウム値、ガンマ線だけの測定しか想定していないとの説明に驚きました。

 (説明者は「健康への影響を無視できる程度の低レベル」と表現され、自然放射線との比較をしましたが、住民からは自然放射線に上乗せされるということではないかと指摘されていました。)

 

 搬入される金属は、搬送してきた船内で搬入時に金属スクラップの塊13ヶ箇所、サーベメーターのようなものでガンマ線だけを測定、加工終了後に再び測定するとしています。

 計画では搬入前後合計2回しか測定するつもりがなく、加工中(加熱中)の至近距離で閉じられた環境での労働者被曝や気化した放射性物質への配慮は最初から考えられていません。(作業中の環境モニターをしないと断じているため)

 

 加工の経過で加熱された金属が放出する放射性物質についてや、労働者の受ける放射線については、そもそも測定モニターを取り付けるつもりも、予算もたてられていません。(搬入は、そもそも低レベルのものだけだから測らなくても大丈夫と断じている)


「重金属を取り扱うのに、中性子線、ベータ線の影響も、他の核種も考えていないとするのでは、不十分ではないか?」と質問しました。

 説明では、汚染値の基準値をベクレルとシーベルトの使い分けをしていたり、トリチウムを水と同じで体の中から排出されやすいから危険ではないと言い切っていたため、会場からは

「工学畑の学者なら、ただちに、その説明の矛盾を指摘するだろう」と批判の声があがりました。

 

 また、この技術開発事業の3ヶ年の計画が終わったら、以降は、どこに、いつ運ばれ、どのように転用されるかまでの情報は、配布された資料の中には全く記されていません。

 できあがった放射性容器は国の予算を投じて随分お高い有用物となるわけですが、そのあたりに置きっぱなしにすることははばかられる手がかかるゴミのようなものでしかありません。

 

【出来上がった容器をそのまま北海道内でお預かりするようなことになってしまうのではないか?】

 汚染された金属で作ったお高い容器は、有価物として「お預かりする公共事業」となるのではないか?という懸念を持ちます。

 事業計画行程では事業の終了後に出される廃棄物は8000ベクレル/㎏までならば、一般廃棄物として捨てられることが示唆されます。

 

【有価物なら放射性でも許される? 北海道条例には違反しないのか?】

 実際には酷い被曝が起こることを懸念させるほどの事業を、何故、北海道内で許されるのか? 

 そもそも、特定放射性廃棄物と言えるものは、法律上の区分では「ガラス固化体」となった状態のものだけであり、これ以外の放射性物質について、厳密に言えば、語尾の中途半端なこの条例では、今後は有価物扱いされる放射性金属物質を、北海道内に持ち込ませないための盾としては頼りないのです。(特定放射性廃棄物でさえも危うい語尾は「がたい」などという中途半端なものであるため)

燃焼可能な災害瓦礫に関する動きが2012年6月に全国的に巻き起こった際、「北海道に特定放射性廃棄物を受け入れがたい」という語尾の中途半端な条例によって、それでも高橋知事はこの条例があるために受け入れないと発言したのに、一方ではプラ燃など有価物は有価物として受け入れられていました。

条例(環境・エネルギー室) | 経済部産業振興局環境・エネルギー室

北海道における特定放射性廃棄物に関する条例

 

 ところで、実際には、比較的低いなどと言われている放射性廃液や、それらが混ざり込んだ余裕深度処分の対象となっている低レベル放射性廃棄物も、かなり毒性の高いものです。

 今回作られる容器は比較的低レベルといわれる廃棄物を入れる容器としていますが、余裕深度処分用と断り書きつきの代物です。

 核ゴミに関して少しでも勉強したことがある人ならば、余裕深度処分という言葉を訊いて、すぐに思い浮かべるのは、六ヶ所村日本原燃)での放射性廃棄物処理(深度地表面下50から100m)。

浅地中処分及び余裕深度処分の濃度上限値

六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターの概要 (05-01-03-04) - ATOMICA -

余裕深度処分 - ATOMICA -

 

 冒頭の経産省への報告書は、96頁にものぼるものですが、昨年11月27,28日に苫小牧と室蘭で行われた一般住民向け説明会のアンケートでは、

「今回の説明会を通してわかったことを教えてください」と尋ねています。

・クリアランスと は何か ・クリアランス物 の安全性 ・クリアランス金 属を再利用す る必要性

・本事業にて、実証 試験としての金属 容器を製作するこ との必要性 

廃炉で発生する金 属のほとんどは放射 性廃棄物ではないと いうこと

・そのほか 

などと、複数回答可としてはいても、解答を選択する文言が誘導されている印象を持ちます。

(資源の有効利用として原子力発電所の金属をリサイクルすること(クリアランス制度の活用) について、どのようにお考えですか?の回答例についても、同様の感想を持ちました。)

 

写真は6月28日室蘭の報告会でのアンケート用紙

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配布資料は大きいサイズになりますが、URLから拾えないため、下に写真で添えます。

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写真は 6月28日に室蘭で配布された資料

 

<参考資料>

http://www.enecho.meti.go.jp/…/public_offer_r…/1507/150727a/

平成27年度「管理型処分技術調査等事業(原子力発電所等金属廃棄物利用技術開発)」

http://www.meti.go.jp/…/policy_m…/26fy-seisakuhyouka/53a.pdf
原子力発電所等金属廃棄物利用技術開発 平成27年度・平成29年度

http://www.enecho.meti.go.jp/appli/public_offer/1506/150605a/pdf/1.pdf

平成27年度「管理型処分技術調査等事業(原子力発電所等金属廃棄物利用技術開発)」に係 る企画競争募集要領

 

報告:ベクレルフリー北海道