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平成28年度北海道原子力防災訓練の報告②二日目 11月14日の参観内容と記録

平成28年度北海道原子力防災訓練の報告②二日目 11月14日の参観内容と記録

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<参観ポイント>
◆11:02 外国人観光客退避訓練
 ニッカウヰスキー北海道工場余市蒸留所 (余市町黒川7-6)
  ※あらかじめ用事されたタペストリーを示すガイド。「放射線は出ていない、安全なところに落ち着いて移動してください」と三か国語でテープレコーダーが伝えるが施設内にアナウンスされず、同時に居合わせたこの日の観光客でさえも、この日が原子力防災訓練実施日だとは知らされなかった。
 一般観光客へはこの日、看板や張り紙、リーフレット配布もなく、場内アナウンスもされなかった。
 
◆14:02 避難退域時検査訓練、安定ヨウ素剤緊急配布訓練  
       車両の放射線測定と除染対策訓練
 道の駅スペースアップルよいち駐車場 (余市町黒川町6-4-1)
 
◆14:35 ヘリ避難訓練 余市運動公園(余市町入舟町)
 赤井川村から2つの地域から3名づつ、合計6名の住民がヘリに乗って移送
余市消防署の職員、自衛隊員が待ち受けて、避難退域時検査所へ移動。

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予定していた通りバス3台を予定通り洗浄したというが、車両の大きさによらず一台100ℓ程度を洗浄水として使用する見積もりのはずが、大型バス洗浄に対しても、これだけの水量しか目視できなかった。

すでにどこかへ捨てたのか? 汚水の保管は有事の際には北海道が保管するというが、この日汚染水用保管容器は200ℓドラム缶2本のみ。

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 取材を受ける避難訓練に参加した神恵内村住民  

 医療班は、安定ヨウ素剤配布チェックシート記入の後、体表測定の場所へ住民を誘導

 

二日目 11月14日 問題点

<観光地での外国人避難誘導>

・ガイドによる説明は、あらかじめ準備された翻訳ソフトで英語、中国語、韓国語の3種類の音声が流された。「放射能は漏れていない」とフラッグに記されたフラッグが示されたのみ。
・通常業務中でこれがすぐ出されるか?
原子力事故以前の自然災害や建物の崩壊による傷病者の発生を想定していない訓練であると北海道の担当課が答えている。余計なことは考えない想定で行われている。
原子力防災事故の対策センター総指揮官であるはずの高橋知事が本部を留守にして、この場居た。放射能漏れという訓練の真っ最中にオフサイトセンターや官邸、及び関係機関との連絡や道としての指揮系統はお留守。

 

<車両のスクリーニングと洗車>
自衛隊の用意した水5トン足らず 
・地下水を汲み上げて使用するケースでは、先に 地下水の汚染値を測定するべき なのではないか?
・汚水を保管するドラム缶200ℓが2本のみ 
・汚水保管用簡易プール(直径1メートル程度)の中には目視でほんのわずかしか入っていなかった。
この日、予定された洗車数はバス3台のみだったが、タイヤ12個を洗ったとは思えない極端に少ない汚染水量
一台当たり100ℓ使用すると概算する洗車用水を、訓練で何故、実際のように使わないのか? 
・洗車に要する時間を 一台あたり30分から45分と見積もっているが、汚染値が下がるほどの洗車が可能か?
・汚水汲み上げ用ポンプシャワー室に対応するための灯油は、どの程度確保されているのか?
・汚染された衣服の代わりに準備された衣服は、どこに何人分が保管されているのか? 

 

安定ヨウ素剤配布、チェックシシート記入、スクリーニング>
安定ヨウ素剤アレルギーに対応するための専用人材は専用要員は、いつ、どの管轄の人材がどこから来るのか?
・乳幼児用のヨウ素剤服用量を正確に測り、配布できるか?

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安定ヨウ素剤配布訓練の際に住民に配布されたシート

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原子力防災訓練 道民視察団 動画記録】

https://youtu.be/z4OBKnMWvO0

ニッカ工場 外国人退避訓練

 

http://twitcasting.tv/owl__claw/movie/322609845

道の駅スペースアップルよいち駐車場 

車両放射線測定(ガイガーポール)・除染対策(洗車)

 

http://twitcasting.tv/owl__claw/movie/322613085

避難退域時検査訓練、安定ヨウ素剤緊急配布訓練

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平成28年北海道原子力防災訓練の報告① 一日目11月13日の参観内容と報道、動画記録

11月13・14日両日 行われた 国と北海道が合同で行った原子力防災訓練に
「道民視察団」として参加しました。
一日目の11月13日はバスで22名が参加、2日目の14日は3組に分かれ、9名が各訓練実施内容を視察、参観しました。

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※事故想定
4:30  北海道南西沖を震源とする地震発生。泊村で震度5強地震を感じる。
PAZ要支援者の避難準備
4:32 日本海沿岸に大津波警報が発令
沿岸住民の高台避難指示
4:51 海水面低下で循環水ポンプが停止
9:33 格納容器内で放射能漏洩発生
10:50 EAL2(施設敷地緊急事態)
非常用炉心冷却設備を手動で作動
12:30 補助冷却機能の喪失
14:50 EAL3(全面緊急事態)
蓄圧タンクによる原子炉への注水完了
PAZ住民の避難
UPZ住民の屋内退避
16:20 炉心溶融 
炉心への注水できず炉心損傷
原子力防災訓練視察団20161113-02

 

<道民視察団及び他府県からの視察バスの視察ルート>

◆参観ポイント1
11:26 共和町役場の北側「憩いの広場」ヘリ離陸
      傷病者をヘリで移送。
11:30 ヘリは札幌の医大へ向かう。

◆参観ポイント2 北電臨時ヘリポート(共和町宮丘)
13:05 道路警啓開訓練開始

◆参観ポイント3 緊急時環境放射線モニタリング訓練(岩内町)

13:40 可動式モニタリング装置。

◆参観ポイント4 とまりん館 当初予定には入っていなかった。
14:30 泊村役場からの原子力防災訓練の街頭放送 要配慮者高台へ避難開始
◆参観ポイント5 共和町オフサイトセンター
15:15着
原子力規制委員会日本原子力研究開発機構(JAEA)、実働対処班、市町村の消防団、医療班、
北海道警察海上保安庁、緊急時モニタリングセンター、プラントチームなどがセクションごとの仕事をしていた。内閣府同行外国人有識者18名

15:40から、首相官邸と結ぶテレビ会議方式の全体会議開始
16:00頃 オフサイトセンター内の全体会議開始

 ※以下は報道された番組等(寄せられた情報から現時点でみられる画像のURLを添付しました。ご確認ください。 
泊原発総合防災訓練のテレビ放映 
11 13 日 1日目
(1) STV  真相報道バンキシャ
   18:40 から1分程度? 泊の風景、安倍首相
11 14 日 2日目
NHK (北海道)

uhb.jp

津波で原子炉冷却装置停止…想定訓練 住民「最悪考えないと」「実際バス来ないのでは」 北海道

 

瓦礫撤去 11月13日共和町宮丘211-1 北電臨時ヘリポート(道路啓開訓練)

www.youtube.com

www.youtube.com

共和町オフサイトセンター 緊急時対策等拠点施設運営訓練 11月13日 14:15~

15:35~ 緊急事態宣言

      原子力災害対策本部・非常災害対策本部合同会議

      第一階原子力災害合同対策協議会全体会議

www.youtube.com

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脱原発首長会議と 北海道知事宛て要望書提出

脱原発首長会議

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 全国の市区町村長や経験者で構成される「脱原発をめざす首長会議」が、11月5日、札幌市で学習会を開催した。会場となった北海学園大には東海第二原発立地自治体である茨城県東海村の村上達也前村長などメンバーら四人が同会議から出席、120名ほどの市民が参加し、寿楽浩太(東京電機大助教)が「高レベル放射性廃棄物処分政策見直しの概要と近況」、吉岡斉氏(原子力市民委員会座長、九州大学教授)が「原子力市民委員会からの提案」と題し、基調講演をした。

国は年度末にも高レベル放射性廃棄物処分場の候補地として適性がある「科学的有望地」を提示する方針とする。一方、首長会議の声明は、「有望地の提示は自治体内に対立構造を作る」「原発推進の国の方針の下で、処分場選定は難しい」と指摘した。

 同会議事務局長の上原公子氏(元国立市長)は「原発再稼働を進めるために、最終処分を推進しようとしている」ことを懸念する。同会議は、北海道には高レベル放射性廃棄物の持ち込みを「受け入れがたい」と拒否する条例があること、長年、幌延深地層研究施設を抱える北海道に注視して会合を計画した。

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 折しも、前日には「特定放射性廃棄物を北海道に受け入れない要望書」に賛同する「核ゴミ問題研究会」など賛同した道内市民団体14団体の代表者ら市民10名が、北海道庁経済部環境・エネルギー室を訪れ、要望書の要旨を説明した。

 意見交換の中で、「北海道内の地域に科学的有望地を示されたとしても、北海道条例を遵守し、核ごみの最終処分場などを受け入れないと明言すること」を求めた。
 経産省が5月末に札幌市で2日に渡って3度持った道内自治体向け説明会には60名が出席した。道内グループが、北海道を含む180自治体に、説明会に職員を派遣したか、科学的有望地、核ごみ最終処分地などに関する設問9項目のアンケートを行った結果を示し、「選定調査に協力するか」「再処理事業を検討しているか」等の質問しに対し、北海道を含む幾つかの自治体が「答えられない」と回答しており、語尾の頼りない北海道条例で北海道全体が守り切れるのか、概要調査に進む際に知事の意見を問われる時点で「受け入れない」と明確に態度を示されるのかどうか。道民の懸念や震撼に対し、「条例を遵守し、適宜に対応したい」と繰り返す北海道側の返答は、まるで他人事のようだと地元新聞に報じられた。

「「核のごみ」とどう向き合う 札幌で処分地選定めぐる学習会」(北海道新聞
http://dd.hokkaido-np.co.jp/…/science/science/1-0335038.html
 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分地選定をめぐる学習会が5日、札幌市の北海学園大で開かれた。国が年内にも処分に適した「科学的有望地」を示すのを前に、自治体や住民がこの問題にどう向き合うべきかを考えた。
 全国の100市区町村長(元職を含む)でつくる「脱原発をめざす首長会議」の主催。約100人が参加した。有望地は日本地図を色分けする形で公表され、この中から複数の候補地を選び、地質などの3段階の調査を経て処分地が決まる。調査をめぐっては、知事や市町村長が反対すれば、次の段階に進まないと法律で定められている。
 学習会では、国の政策に詳しい寿楽(じゅらく)浩太東京電機大助教が「『次に進まない=やめる』ではない。国は地元が『うん』と言うまで理解を求めてくる可能性がある」と指摘した。脱原発を目指す「原子力市民委員会」座長の吉岡斉(ひとし)九州大教授は「核のごみの処分は電力会社が責任を負うべきで、自治体や住民に協力する責務はない」と話した。道には核のごみを「受け入れがたい」と宣言した都道府県で唯一の条例があるが、高橋はるみ知事は道内が有望地や候補地になった場合の対応を明言していない。

「処分合意には脱原発必要 核のごみ問題で首長会議が声明」(東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/…/…/201611/CK2016110602000110.html
 全国の市区町村長やその経験者でつくる「脱原発をめざす首長会議」は五日、札幌市で会合を開いた。原発の高レベル放射性廃棄物を地下深くに埋める最終処分に関し、「原発をやめる方針を打ち出し、廃棄物の総量を確定させなければ、処分場建設に向けた合意形成の出発点に立てない」とする緊急声明を採択した。
 政府は処分場の候補地として適性がある「科学的有望地」を十二月にも提示する方針だが、声明は「有望地の提示は、住民間や地域内の亀裂を生じるリスクもはらむ。自治体をいたずらに混乱させるだけだ」と指摘。原発推進の政府方針の下では、処分場選定は前進しないと主張している。
 会合後に記者会見した同会議事務局長の上原公子・元国立市長は「政府は再稼働を進めるために、最終処分を推進しようとしているのではないか」などと訴えた。
 同会議のメンバーは、三十七都道府県の現職首長と経験者ら計百人。この日は、日本原子力発電東海第二原発がある茨城県東海村の村上達也前村長らメンバー四人が出席し、市民約百人が集まった。
 北海道には高レベル廃棄物の持ち込みを「受け入れがたい」と拒否する条例があり、市民の関心も高いことから、札幌で会合を開いたという。

 

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原子力防災訓練 道民視察団 行動予定

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原子力防災訓練 道民視察団 行動予定

 

エール観光 中型バス 21名(6席補助席付き) 

ドアガラスに「原子力防災訓練 道民視察団 」のサイン

 

<集合・出発場所>

11月13日  8:30 スタッフ集合

石狩振興局 道庁別館(本館の西側)の北側 
弁当と飲み物持参のこと 

※他府県視察バスの後に付いて行くためコンビニなどに立ち寄る計画が立てられません 。

 

午前8:40~乗車開始 9時までには乗車のこと(時間厳守)出発予定 9:20

バスのドア口前で参加者名簿確認 乗車してからバス代金を徴収します。
 到着順に21名が着席し、遅く着いた方は補助席にお座りいただきます。

行先とルート:確定するのは数日後ですが、いまのところ 以下の順
 

<現在の時点での訓練内容とルートの予定> 

※道庁が2,3日前に確定するとしているため変更の可能性あり

①共和町オフサイトセンター(共和町南幌似141-1)
◇OFC運営訓練【11/13(日)8:30~11/14(月)16:00頃】

②共和町憩いの広場(共和町南幌似37-5)
◇ヘリによる要員派遣訓練(副知事到着)【11:20頃】
◇ヘリによる傷病者搬送訓練(離陸)【11:30頃】
◇ヘリによる国職員等(副大臣)の緊急輸送訓練【12:00頃】

岩内町陸上競技場(岩内町字宮園313)
◇ヘリによる国職員等の緊急輸送訓練【12:00頃】
⑤北電臨時ヘリポート(共和町宮丘211-1)
◇道路啓開訓練【13:15~13:30頃】

 

 ④札幌医科大学附属病院(札幌市中央区南1条西16丁目)
 この場所は帰り道もたどり着けない場所なので、割愛の予定
 ◇傷病者搬送訓練【12:10~14:00頃】

 

 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/…/201611kunren-leaflet-fix.p…
 北海道庁 原子力安全対策課 HP資料
 http://becquerelfree.hatenadiary.jp/entry/2016/11/07/095219
 ベクレルフリー北海道 ブログ 

なお、 14 日はバスの手配はしませんが、実施場所が数か所あるため、

3組ほどに分かれて先発の車を出す予定。


14日のバスの後方を走る車

共和町(オフサイトセンター)

余市町(スクリーニング)などそれぞれのポイントを視察の予定。

車を出して下さる方など、協力者を募集しています。

 

道民視察用バス予約のためのカンパ 振込口座
Please put money in here.  
  ゆうちょ銀行  普通預金  口座番号  19270   3146631  
 マシオン恵美香

 emika69@yahoo.co.jp,
 

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平成28年度原子力防災訓練 道民視察団

11月4日、北海道原子力安全対策課は、国と北海道が合同で行う「平成28年度原子力防災訓練」の

実施日(11月13・14両日)と訓練内容を、ようやく発表しました。


同日午後、道民視察団の有志と共に道庁北海道原子力安全対策課を訪問しました。

今年度の原子力防災訓練の詳細
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/…/gat/bousaikuren28111314.htm

原子力防災訓練 道民視察団 追加募集 !!
(11月13・14日)

11 月 13 日 国と北海道が合同でおこなう泊原発防災訓練を視察する
      道民視察団のバスを自前で仕立てます。

11 月 13 日  朝 9 時までに集合(時間厳守) 
※バスにはその少し前から乗り込めるようにします。
道庁別館 ( 本館の西 の北側) 出発予定(9:20)

弁当と飲み物持参のこと  ( 他府県視察バスの後に付いて行くためコンビニなどに立ち寄る計画が立てられません )

 

◆ 道民視察団への参観希望者はお知らせください。 バスには あと 数名、乗ることができます。

現地へ向かうバス内では、新しいパンフレット「泊原発事故!そのとき本当に逃げられるの?」の編集に携わった調査員からレクチャーを受ける予定です。

 

<申し込み・連絡先>マシオン emika69@yahoo.co.jp  メールか FAX0154-43-0697 

          携帯電話は090-9436-8632 まで 直接お申込みください。(先着順)

なお、 14 日はバスの手配はしませんが、実施場所が数か所あるため、3組みほどに分かれて車を出し、14日のバスの後方を走る車、共和町(オフサイトセンター)、余市町(スクリーニング)などを視察の予定。
車を出して下さる方など、協力者を募集しています。

 

道民視察用バス予約のためのカンパ 振込口座 

Please put money in here.  
  ゆうちょ銀行  普通預金  口座番号  19270   3146631   
 マシオン恵美香

 

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H28北海道原子力防災訓練(H28111314) | 総務部危機対策局原子力安全対策課

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/gat/H28-kunren-yoko-fix.pdf

平成 28年度 北海道原子力防災訓練 実施要綱

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/gat/201611kunren-leaflet-fix.pdf

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北電力泊原発敷地内の活断層への新規制基準適合性を問う

北海道電力泊発電所(泊原発)敷地内の「活断層」     <たんぽぽ舎メルマガからの転載>
 |  新規制基準適合性審査における原子力規制委員会
 |  学会の役割を問う
 └──── 小野 有五 (北星学園大学)・
       斉藤海三郎(「行動する市民科学者の会・北海道」)

  *「日本活断層学会」HP-『日本活断層学会2016年度
                秋期学術大会講演予稿集』より引用

1.はじめに

 北海道電力泊発電所(以下、泊原発と略称で呼ぶ)は、北海道西部、積
丹半島の基部に位置し、海成段丘(注1)を掘削した敷地に1~3号機の3
つの原子炉が建設されている。
 北海道電力(北電)は3号機の再稼動を目指しており、原子力規制委
員会の「新規制基準適合性に係る審査」では、2013年7月以来、2016年8
月まで、活断層など泊原発へのリスクとなる自然現象についての審査会合
が計50回、非公開のヒアリングは計71回、行われてきた。

 審査会合については、当日の議事内容、北電が提示したパワーポイント
などの資料のほか、会議の内容もYouTubeで公開されており、一般市民も見
ることができる(ヒアリングは議事録要旨とパワーポイント資料のみ公開)。
 演者らは、インターネット上に公開されたこれらの資料を分析してき
た。北電は、泊原発敷地内にあるF-1断層が、「岩内(いわない)層」を
変位させていることを認めているが、北電は、「岩内層」のFT
年代(注2)は120万年前であり、前期~中期更新世(注3)の地層なので、
F-1断層活断層とは認められないと主張してきた。

 しかし、北電の資料を詳細に検討すると、北電の主張する「岩内層」の
年代には科学的な根拠がないことが明らかになった。
 また、北電が提示した敷地内のトレンチ断面の写真では、海成段丘面を
つくるはずの厚い海成層を段丘堆積物と認めていないなど基本的な誤りも
見受けられる。

 これらの問題点が明らかになったので、演者らは岩内平野での現地調査
を実施した。本報告では、そこで得られた知見をもとに、北電の主張して
きた泊原発敷地内の「岩内層」は、前期~中期更新世の地層ではなく、
約33万年前のMIS9、約35万年前のMIS10に相当する地層である可能
性がもっとも高いことを述べる。これによれば、F-1断層は、明確に40
万年前より新しい地層を変位させていることになり、3.11以降の新規制基
準に基づけば「将来活動する可能性のある断層等  」となる。
  なお、調査費の一部に高木仁三郎基金助成金を使わせていただいた。

2.北電による「岩内層」の年代決定への疑問

 3.11の東日本大地震津波による福島第一原発の過酷事故への対応を迫
られた政府は、原発を有する電力会社から、「地震津波に関する意見聴
取」を行った。
 北電が「岩内層」の年代について初めて言及したのは、平成24(2012)年
7月17日に開催された第19回の会合においてであった。「参考 岩内層に
ついて」というパワーポイントが1枚だけ示され、そこには、「岩内層は、
岩内平野に分布し、砂・礫等からなり、砂礫は葉理がよく発達する。本層
は、岩内平野において丘陵背面を形成し、丘陵斜面が洞爺火砕流堆積物に
不整合で覆われている。本層の形成年代に関しては、砂層中の凝灰岩を対
象としたフィッション・トラック法年代測定値1.2Maプラスマイナス0.2
Ma(注4)が得られている。これらのことから、本層の形成年代は前期~
中期更新世と判断される」と書かれ、岩内台地での露頭写真と、その拡大
写真が1枚ずつ示されている。

 しかし試料測定地点や測定層位も示されておらず、拡大写真も不明確
で、「砂層中の凝灰岩」が写されているのかどうかも明らかにされておら
ず、測定試料の詳細は不明である。
 2013年からは泊原発3号機の再稼動をめざす審査が始まり、北電は、
毎回、100枚を越えるような多数のパワーポイント資料を提示しているが、
「岩内層」の年代に関する詳しい資料がそこで提示されたことはない。測
定地点や測定層位など基本的データすら現在に至るまでまったく公表され
ないままである。それだけでも、科学的な年代測定とはいえないが、より
根本的な問題は、北電が、「岩内砂層」中の「凝灰岩」の年代を測って、
それをそのまま「岩内層」の年代としていることであろう。

 砂層のなかに取り込まれた外来礫としての「凝灰岩」の年代を測定して
も、それがそのまま砂層の堆積年代にならないことは明らかである。
 まずこの点からして、北電の主張する「岩内層」の年代なるものは地球
科学的に疑問である。

3.地形面を無視した北電の「岩内層」の対比

 次に問題なのは、北電が年代測定をしたとする岩内台地の「岩内層」の
位置づけである。岩内台地は、リヤムナイ台地とも呼ばれ、岩内町市街地
の背後に広がる標高25~30m程度の平坦な台地であるが、すでに渡辺(真
人)ほか(1990)、赤松ほか(1992)はこれを最終間氷期の海成段丘面とし、
それを構成する砂層である「岩内層」は、MIS5eに相当する海成層と
推定している。また、日本全国の海成段丘面を分類、地図化した小池・
町田(2001)も、これをMIS5eの海成段丘面に分類している。

 しかし北電は、今日に至るまで、前2者の論文は参照すらせず、小池・
町田(2001)を否定する科学的根拠も示せていない。
 演者らの調査結果からいえば、北電が「岩内層」と一括してきた地層は、
場所によって、堆積年代のまったく異なる、更新世の複数の海進の堆積物
であると考えるべきことが明らかになった。
 すなわち、岩内台地では、前述したように、それは約12.5万年前のMI
S5eの海進に対応する砂層であり、泊原発敷地内では、MIS9の海成
段丘面を構成する海成の砂層と、その基底礫層(MIS10に相当する地
層)と考えられる。

 したがって、泊原発敷地内でF-1断層が変位させているのは、明らか
に40万年より新しい地層であり、「後期更新世の地形・堆積物がなく、後
更新世以降の活動を判断できない場合」の基準に照らせば、F-1断層
は、明らかに「将来活動する可能性のある断層等」となる。

4.原子力規制委員会と学会に望むこと

 以上述べたように、北電が原子力規制委員会の審査で主張していること
には重大な誤りがある。
 これは、たんに敷地内の「活断層」の問題にとどまらず、積丹半島周辺
地殻変動の解釈に関わる問題であり、看過することはできない。

 原子力規制委員会がこうした明らかな誤りを見抜けなかったのは、規制
委員会に、海成段丘やその地層を判断できる専門家がいないためであろう。
 また、たとえ専門家がいたとしても、実際に現地を歩いていないと、電
力会社が自らに都合よくまとめあげた資料の問題点を見抜けない可能性も
高い。このような場合には、やはり、多様な専門家を有する学会がその不
足を補うべきであろう。
 日本活断層学会のような学会は、研究成果を積極的に提供するだけでな
く、規制委員会に対し問題点を指摘して、より科学的な審査を要求すべき
であろう。

 規制委員会もまた、積極的に外部から知見を取り入れる努力をして、科
学的に意味のある適合性審査を行っていただきたいと望むものである。

※「事故情報編集部」より、文中に4つの(注)を追加しました。
 ご参考になれば幸いです。

注1:「海成段丘」 (コトバンクより)
      世界大百科事典内の海成段丘の言及【海岸段丘】より
…過去の海面に対応して形成され,海岸付近に分布する階段状の台地(段
丘)地形で,段丘崖とその前面の平たんな台地面(段丘面)の組合せからな
る。
 海の作用によって形成された段丘であることを強調して,海成段丘
marine terraceということも多い。それらの地形は,かつて海面近くに
あって,おもに波浪の浸食作用によって形成された海食崖と海食台が,そ
の後陸地の隆起または海面の低下により離水して陸上に保存されているも
のである。…
https://kotobank.jp/word/%E6%B5%B7%E6%88%90%E6%AE%B5%E4%B8%98-677161

注2:「FT年代」 (Wikipediaより)
 フィッショントラック法(FT法、fission track)とは、放射年代
測定の方法の一つである。
 鉱物中に含まれるウラン238は、アルファ崩壊のほかに自発核分裂
(spontaneous fission)をおこす。その際、鉱物中に飛跡(track)を残
す。測定試料を研磨して、さらに適切な方法でエッチングして飛跡を顕微
鏡下で観察可能な大きさまで拡大し、研磨面にあらわれた飛跡を数え、飛
跡密度をもとめる。鉱物中のウラン量が判れば、飛跡の密度は自発核分裂
の壊変係数と時間の関数になる。したがって、飛跡密度とウラン量から鉱
物の形成年代を求めることができる。ウランの定量は、飛跡を測定した後
の試料に原子炉で中性子線を照射することで、ウラン核分裂を引き起し
てできる誘導トラック数を数える方法が、一般的である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E6%B3%95
 より

注3:「更新世」  (Wikipediaより)
 更新世(こうしんせい、Pleistocene)は地質時代の区分の一つで、
258万8千年前から11,700年前までの期間。第四紀の第一(前半)の世。
かつては洪積世(こうせきせい、Diluvium)ともいい、そのほとんどは
氷河時代であった。更新世は、前期、中期、後期に分けられる。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9B%B4%E6%96%B0%E4%B8%96 

注4:「Ma」
 数字の単位(Ma)は100万年前を表わす。例えば中生代新生代の境界
は65.5Ma、すなわち6550万年前ということになります。
 「国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター」より
  https://gbank.gsj.jp/geowords/index_glossary.html


┏┓
┗■規制委は北海道電力泊原発活断層調査をやり直させるべき!
 |  小野有五さんと渡辺満久さんが活断層学会で指摘した
 |  原子力規制委員会の審査能力不足
 |  原子力規制委員会原発再稼働推進委員会!その116
 └──── 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

 10月29日と30日に東京で「日本活断層学会2016年度秋季学術大会」が開
催された。そこで2人の著名な専門家が規制委の審査の問題点を指摘した。
 小野有五さん(北星学園、北海道大名誉教授、地球生態学・環境地理
学・景観生態学)は、<北電による「岩内層」の年代決定への疑問>、<
地形面を無視した北電の「岩内層」の対比>を説明し、<北電が原子力
制委員会の審査で主張していることには重大な誤りがある。これは、たん
に敷地内の「活断層」の問題に留まらず、積丹半島周辺の地殻変動の解釈
に関る問題であり、看過することはできない。…。原子力規制委員会がこ
うした明らかな誤りを見抜けなかった…>と指摘している。
 一方、渡辺満久さん(東洋大、変動地形学活断層研究)は、<常識的
な手法・考え方が、泊原子力発電所敷地内の断層評価においては適用され
ていないことを指摘し、発電所敷地内の層面滑り断面は、原子力規制委員
会が定義する「将来活動する可能性のある断層等」であることを否定でき
ないこと>を示し、<原子力規制委員会の審査能力には大きな疑問を感じ
ざるを得ない。専門家を交えた正しい審査を実施することが必要である>
とまとめている。
 このことは、北海道新聞でも10月31日に<泊原発周辺の隆起は「地震
性」専門家2人、学会で発表>で、<泊原発再稼働に向けた原子力規制委
員会の適合性審査で焦点になっており、今後の議論に影響を与えそうだ。
 積丹半島西岸の地形について、北電は「地震ではなく広域的にゆっくり
と隆起した」と主張しているが、27、28日に規制委が行った現地調査でも
十分な説明ができず、今後の審査会合で議論が続く見通しだ。>と報道し
た。
  http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0332898.html
 7月には、島崎前委員長代理の基準地震動の算定方法の問題指摘に対し
て専門家としての役割を果たせなかった石渡明委員が現地調査をしたそう
だが、「原子力マフィア」出身でない唯一の委員の良心を示し、少しは<
科学的に意味のある適合性審査>を行うべきだ。
 そうすれば、泊原発を再稼働することはできなくなるはずだ。

第 29 回放射性廃棄物ワーキンググループの審議事項に関する意見

11月5日に開催される脱原発をめざす首長会議にも講師として参加される寿楽さんが
第 29 回放射性廃棄物ワーキンググループの審議事項に関する意見を書面で提出しています。
 
第 29 回放射性廃棄物ワーキンググループの審議事項に関する意見

第29回放射性廃棄物ワーキンググループの審議事項に関する意見
平成28年10月18日
放射性廃棄物ワーキンググループ委員
東京電機大学 寿楽 浩太
本来は本WGの会合には万障を排して出席すべきところ、以前から予定されていた海外出張のため、誠に遺憾ながら欠席のやむなしとなりました。大変申し訳ありません。本日の会合では政府による「科学的有望地」の提示に先立ち、「社会科学的観点の扱い」についての確認や、原子力委員会による評価に対する対応、地層処分技術WGで検討結果に対する対応など、重要な審議が行われるものと理解しているところ、以下の各点について、書面にて意見を提出いたします。
1. 「科学的有望地の提示に係る社会科学的観点の扱いについて(案)」について
・ 本文書案については、前回までのWGでの審議、あるいは文書案作成過程で出された各委員からの意見を公平かつ適確に反映していると思われる。
・ また、論旨全体としても、「科学的有望地の提示に当たっては、社会科学的観点からの要件・基準の設定は行わない」とする結論には賛同する。社会科学的観点については、この問題において極めて重要な公正性・公平性、その他さまざまな社会的・倫理的論点が深く関わる。このため、行政機関の裁量において、あるいは当WGのような特定の審議体の判断によってあらかじめ一律の基準を示すことは適当ではなく、論点が広く公論に付され、社会的な議論の深まりを経て合意が形成されるべきものであると考えるためである。この意味で、「現時点で何らかの線引きを行うよりもむしろ、今後のプロセスの中で、建設的な国民的議論を慎重かつ丁寧に進めていくことが適当である」との記述を含めることには賛成である。
・ ただし、「国民的議論」を深めるための前提が十分に整っているとは言いがたい。原子力利用の今後と放射性廃棄物の関わりについての社会的了解、地層処分による最終処分を目指すことそのものについての社会的合意、関係主体に対する社会の信頼、処分プログラムの具体的な進め方に対する社会的支持のいずれもが十分ではないと思われる。
・ 小生としては、現時点においても、これらの事項は最終処分場の候補地選定に先だって順次取り組まれるべきものであり、本来であれば、候補地選定はその後に行うことがもっとも適切と考えているが、本WGの「中間とりまとめ」、本WGからも助言を行った政府の「基本方針」、また数次にわたる「最終処分関係閣僚会議」の決定等において、これらは処分場候補地選定と並行して進める方向性が示されてきたと理解している。
・ 今般、処分場候補地としての調査対象地域に関する「科学的有望地」の提示を行うにあたって、その後の「国民的議論」について言及することは、その意味で非常に大きな重みのあるものだと理解するべきである。すなわち、「科学的有望地」の提示後の「国民的議論」は、政府やNUMOの取り組み方針を様々なイベントやチャンネルを通して「広く社会に説明する」ことのみで喚起しうるものではないと考える。今回、「社会科学的観点」として整理された事項や、今回、技術WGの取りまとめ案に対して市民の皆さまから提起された論点等、人びとの意見が分かれうるような社会的・倫理的な事柄について、実質的に議論を尽くし、ひとつずつ結論を得て、それに基づいて関係機関が実際の政策・施策・事業に取り組むプロセスに入ることを意味する。
・ こうした認識から、特に「科学的有望地」の提示後に、「社会科学的観点」等についてどのように「国民的議論」を喚起し、議論を尽くす場を設けていくのか、政府において明快で腑に落ちる見通しを示すことが必要と考える。本文書案の「科学的有望地のマップの提示後のプロセスについて明確に示し広く共有していくことも重要」との記述で示した方向性の具体化に、ただちに着手するべきである。
・ また、その際には、処分場候補地としての調査を念頭に置いた各地域での「対話活動」と並行して進めるかたちとなることから、政府やNUMOとの対話に応じてくださる地域が現れた場合の当該地域の裁量(特に、一度関心を示したとしても撤退が自由であること)などについてあらかじめ明確に示すことが極めて重要であると考える。

 

2. 原子力委員会による「最終処分関係行政機関等の活動状況に関する評価」に関して
原子力委員会による第三者的評価については、本WGにおける審議においてその有用性・重要性が指摘され、「中間とりまとめ」での提言、「基本方針」の改定を経て実現した経緯があることから、本WGとしては、真摯かつ前向きにその提言内容に応えるべきであると考える。
・ 報告書の概要の整理とそれに対する初動の応答としては、今回事務局から示された資料の内容に大きな異論はないが、以下の諸点について注意喚起と補足を行いたい。
・ 当該報告書における、「国による地方公共団体への理解と協力の申入れに係る手続については、科学的有望地提示後の地域対話の状況等を踏まえつつ、具体化に向けた検討が行われることが期待される」との指摘については、「科学的有望地」提示前の現段階から、随時遅滞なく対応することが極めて重要と考える。原子力委員会は、「科学的有望地提示後の地域対話の状況等を踏まえつつ」としているが、前項でも述べたように、有望地提示前においても、地域の立場に立って今後のプロセスの原則や方向性を明らかにし、積極的に示すことが望ましい。
・ これは、当該報告書の「処分地選定を着実に進めていくに当たっては、国民の当事者意識を喚起しつつ、どのようなプロセスを経て処分地選定を行っていくかということについて、引き続き必要な検討を行うとともに、その検討状況を国民に説明し、理解を深めていくことがますます重要になる」との指摘とも合致するものである。事務局案における「提示後の取組の進め方について分かりやすい説明を準備」という記述からもう一歩、二歩と踏み込む必要があると考える。
・ 当該報告書における、「我が国の規制当局にも諸外国における早期関与の取組と同様の取組が期待される」との指摘については、規制当局が社会の負託を受け、政策・事業推進側とは独立の、第三者的立場から厳正にチェックを行い、その結果を社会に示すことは死活的に重要であると思われることから、小生もかねて指摘してきた点であり、賛同するものである。
・ また、これに関連して、規制当局と経済産業省、あるいはNUMO等の関係機関の間の健全でオープンなコミュニケーションを深化させることを強く要望したい。以下のような論点について疑問が生じているからである。
・ 低レベル放射性廃棄物の中深度処分について去る8月に規制当局が決定した規制方針では、事業者を300〜400年間存続させ、その期間にわたって規制を継続し、また、その期間における閉じ込め性能の実績を確認してから最終的に施設を閉鎖するとの考え方が示された。当該文書末尾には、高レベル放射性廃棄物における安全確保の考え方との共通性の指摘もある。
・ これまで、高レベル放射性廃棄物の最終処分においては、能動的管理を数百年以上の長期間継続することの困難性を指摘して現世代における地層処分の必要性を訴えたり、将来世代が所要の安全確保を確認し、閉鎖の意思決定を行う時点は定置完了後そう遅くない時点を念頭に置く説明を行ったりしてきたと理解している。両者の考え方を直ちに整合的に理解するにはやや困難があるようにも思われる。また、一般に、高レベル放射性廃棄物処分には低レベル放射性廃棄物処分以上の厳重な措置を求めるのが社会通念上、通常であろう。そうすると、高レベル放射性廃棄物処分においても、同程度の期間にわたる人的管理を安全確保の前提とし、規制を継続する期間も延長して、施設閉鎖の時点をさらに先の将来にするべきだとの意見もありうるだろう。こうした疑問について、今後、関係機関あるいは関係専門家の間で公明正大に議論を尽くし、そのプロセスや結果を明快に社会に示していただくことを希望する。

 


3. 地層処分技術WGにおける報告書の取りまとめについて
・ 同WGの取りまとめは、「科学的有望地」提示の技術的な支えとなり、また、そのプロセスの妥当性は今後のプロセスに対する社会的な信頼・支持の基礎ともなりうる極めて重要なものであるところ、杤山同WG委員長から示された留意点については、その懸念を共有する。
・ ただし、「国民の不信感・不安感の払拭」に関しては、すでに述べた通り、そもそも、高レベル放射性廃棄物処分プログラム(政策・事業・研究開発)全体の中で今般の「科学的有望地」の提示がどのような位置を占めるのかについての広範な社会的了解を得る中で、自ずとその意義が定まり、また、具体的な基準設定の妥当性が人びとに判断されるべきものである。その際には、当然、「科学的有望地」の提示後にどのような手順を踏むのかという、プロセスについての社会的合意を得なければならない。
・ したがって、情報の受け手の側に立った伝え方のさらなる改善や津波等の社会的関心事項に関する説明の補充はもちろん行うべきであるが、基本的には本文書で前述した事項に対応する中で、根本的な解決が図られるものと考える。
・ なお、これに関連して、パブリックコメントで寄せられたご意見のうちには、輸送に関する条件の社会的側面、「科学的有望地」の呼称の是非、その提示後のプロセスの提示、原子力政策全体との関連などに関するご指摘が見られる。これらの論点は本
WGにおいても改めて審議すべきと思われる。
・ 「科学的有望地」の提示に関しては、今後のプロセスが社会的な支持を得たものとなるかどうかにおいて極めて重要な局面であるため、拙速があってはならず、慎重で謙虚な手順を踏むことが肝要と考える。
以 上

 
総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会 放射性廃棄物ワーキンググループ(第29回)‐配布資料
 
動画
 
 委員が大慌てで海底下を含む沿岸域のを(より適正が高い」の「より」を 削除すべきとしたり・・・
 
  マシオン