becquerelfree’s blog

NO NUKES,ONE LOVE

「原発のゴミは他人事ですか」清水町での説明会

2017年11月26日 清水町文化センター
原発のゴミは他人事ですか」10:00~16:00
主催:経済産業省資源エネルギー庁 札幌オオドオリ大学
運営事務局:電源地域開発センター

<会の次第>
10:00 開会挨拶 札幌オオドオリ大学 大浦さん
    事情説明 地域受入団体メンバーM氏から
    ファシリテーター  田口ランディ氏 自己紹介

ロールプレイングゲーム(?)
情報提供(NUMO)加来謙一さん

 経済産業省資源エネルギー庁 放射性廃棄物対策課 

北村正晴 東北大学名誉教授(原子力安全工学)

ー昼食ー (参加者にはお弁当、お菓子、飲み物が振舞われた)

午後 ワークショップ① NUMOへの質問と回答
   六ヶ所村で集めたインタビュービデオ画像上映
   (6人のうち2名のみ上映)
   ワークショップ② 
   北村正晴氏(原子力安全工学の専門家として)
   経済産業省放射性廃棄物管理課 尾上さん
   会場からの質問と回答

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 説明会で配布された資料 6種類の説明資料、アンケート、主催団体が制作した冊子

受付では参加者がIDプレートをもらって入場
3つのテーブル A班 6名、
B班 8名(うち1名は幼児)、c班 8名(うち1名は午前中のみ)
当初は15名の定員としたが、申し込みは20名以上あった。
関係者は取材(報道)を入れて11,12名

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開会挨拶 大浦宏英氏
札幌でこれまで数度に渡り、核ごみ最終処分に関する若者向けイベントを「中立の立場」で主催してきた札幌オオドオリ大学としてのスタンスを説明
経産省も主催者も開催趣旨について、「自治体への「文献調査」受入れを誘導するものではない」とした。

http://odori.univnet.jp/
札幌オオドオリ大学

<事情説明>清水町でこの催しの開催を提案した人物からの発言
チラシには十勝清水プラスの会が主催と記されていたが、会員個人の判断であり、全員一致で決定されていないため、自治体や組織に迷惑をかけたことなど、関係者挨拶の冒頭で謝罪された。
「核ごみの最終処分について知ることや理解することが必要」とし、安易に周知ご理解活動を地域に受け入れ、開催を企画したことが、今後、どのような問題、波紋を広げるのか、あまり考えなかったために、地域や仲間に大きな迷惑をおかけした。ついては会を退会する覚悟である」などと、個人的な事情も含めての謝罪、事情説明に長く時間が割かれた。(当該人物の憔悴ぶり、動揺ぶりは、会の進行を遮る形で、途中、何度かの発言の中で観られた。)

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ファシリテーター 田口ランディ氏 
著作を紹介し、続いて、討論の手法としてのロールプレイを提案

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「テーブルごとに話し合って10のうちから最善策を選べ」という
ロールプレイゲーム(?)で各
テーブルが原子力安全委員会となって出した核ごみ最終処分案 
「優先順位を付けろ」いう無茶ぶりに対し、大真面目に取
り組んだ結果

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A班 

総量管理 ※大前提として「これ以上使用済燃料を増やさない」
第一候補6 地上暫定保管 一定期間(50~100年)乾式貯蔵
第二候補10 使用済燃料は無害化できるまで原発敷地内に冷却しながら保管 

     ただし、水冷式は危険
第三候補11(その他)

使用済燃料の保管に適さない原発(泊など)の事情を加味して → 安全な場所移動(どこに?
A班には放射線に詳しいS氏がいらしたため、感情的にならず、比較的知性的、科学的に説明した。

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B班の発表は、記録用紙が2枚にも渡り、この催しの進め方、持ち方、ロールプレイゲームの必要性に対する抵抗があったようで混乱ぶりがうかがえる内容だった

B班からは「ご理解活動」の一環として参加者が原子力PRに加担してしまうことになりやしまいか?との発言があった。

C班 「まとめない」と決めたようで
 まとめの用紙に記すことさえせず、様々な発言があったとした。


このミッションに取り組むための説明が唐突過ぎたため、主催者、ファシリテーターへの信頼がないまま予定行動には移れなかった印象。
原子力関連問題に於いて、「中立」という立場のまま発言するということは在り得ないと感じる参加者が多い中、主催者は「中立」を繰り返すばかり。

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午後からのワークショップ
原子力安全工学をご専門とする北村正晴先生 
隣はNUMO 加来さん
経済産業省資源エネルギー庁 放射性廃棄物対策課 尾上さん

 

経産省の尾上さんは催しの終わりごろになって「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律で我が国は使用済燃料をガラス固化し、深地層処分するということが決まっている」とし、
「この計画を進める理由として、法律で規定されてもいない地上で監視という手法のみになって選択肢がなくなってしまっては困るからだ」と説明した。
しかし、多くの参加者は、むしろ、「深地層処分という選択肢しかないと法律で決められていることに不安を覚えている」・・・と指摘した。

odori.univnet.jp

東北大学名誉教授/株式 会社テムス研究所 代表取締役所長

1942 年生まれ。東北大学名誉教授。株式 会社テムス研究所 代表取締役所長。 専門は、原子力安全工学、計測工学、ヒュー マンファクタ、リスク評価・管理学。 最近では、科学技術と社会の関係をより よいものとするため「科学技術コミュニ ケーションの実践研究」を企画・実施して おり、原子力立地地域で、「原子力技術に 関わる諸問題」を題材として、住民の皆様 との直接対話を積極的に推進している。

 

北村氏は福島事故以前はその道の専門家であり、推進派の御用学者であったと自己紹介されている。
原発に関しては安全だと言わなくなったが、深地層処分は容認派になって宣伝のお手伝いをされているというのは、ありがちなパターン。
原発安全PRは公然とはしずらく金にならないが、深地層処分は天井知らずである証拠との批判も。

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配布資料の説明を兼ねて、核ごみ最終処分の事業主体であるNUMOが法律下で行う核ごみ最終処分について、また最終処分地を選定するために、本年7月28日に示された「科学的特性マップ」について説明があった。

NUMO原子力発電環境整備機構 地域交流部総括グループ 加来謙一さん)

参加者からの質問では、「地震津波、地下水の動きに配慮しない科学的特性マップは科学的ではない」との指摘があり、経産省は地図は詳細なデータには欠けていると、この場で概ね認めた。


参加者から「NUMOという組織は100年もつのか?」
「オーバーパックの耐久期間が1000年というが保障ができるのか?」という指摘もあった。

中立という態度であった札幌オオドオリ大学は、これらのやり取りに対し、「NUMOは法律の下で最終処分事業を受託しているため、国民が彼らの存続を決める」などと発言した。
国民に押し付ける理由だけを強調する作法は、こうした催しの進め方の中ではフェアではない。

中立とする立場を貫くのであれば、言い聞かせようと試みる態度はあの場では逆効果だった。

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六ヶ所村で6名のインタビューを記録してきたうち2名分を記録動画を観せられた。
写真は伊藤夏子さん
質問に対し、「経済的に村が蘇った。スワニーという立派なコンサートホールができて大きなコンサートが開かれるようになったことが嬉しい」と話している。

6名のうち5名が原子力施設を受け入れた利点を語り、唯一、六ヶ所村の村長選挙に反原子力の立場で出馬し、落選した菊川慶子さんのみが「核とは共存できないと次世代に伝える必要がある」と断言しているインタビュー内容だった。

札幌オオドオリ大学が集めたインタビュー6名のうち5名が原子力に肯定的な人々というビデオ録画を紹介することが、公平さに欠ける印象を与えていた。代表者は「反対派の回答対象者がみつかならかった」と答えた。参加者からは「よく探した結果なのか?」との批判的発言があった。

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f:id:emikamassion:20171127142832j:plain 出口でお土産のように手渡されたPR冊子

札幌オオドオリ大学がまとめた内容はNUMOと経産省が推奨する「深地層処分最善説」

 

田口ランディさんはご自身を「脱原発派が推進派と仲良くなって話をしなければ社会を変えることはできない」とし、こうした催しを開催する資金が政府や電力関係機関から出ていることを認めつつ、このような問題があるということを多くの人に周知するお手伝いをしていると認めていた。

これまでにされてきた説明会よりも批判的、攻撃的発言内容が多かったせいなのか、終了後には安堵で涙ぐんでいる場面もあった。(ファシリテーターとして、あるいは反原子力派の作家個人としての本当のお考えは、参加者にはあまり伝わってこず、疑念や不信感を抱かせてしまった印象)

 

経産省の係官は、NUMOや国のエネルギー制作および核ごみ最終処分に関する問題、これに対する措置を広く知ってもらうため・・・とはしているものの、「深地層処分が現時点では最善であり、国は法律下では基本的な計画方針を変えない」と断じてもいる。

 

悪ければ、こうした悩ましい問題について考えたり、地域に対する働きかけがあった場合には、地域を守るために抗う気力さえ削がれてしまいかねないという危機感を覚えた。

また、北海道には「特定放射性廃棄物を受け入れない条例があるが、条例があっても最終処分場受入の打診を北海道の自治体にもするのか?」という質問に対し、NUMOは「情勢を観ながら進めていく」と回答した。
北海道条例を無視するとは言っていないものの、この態度によって、NUMOは条例のあるなしに関わらず、全国の自治体に対し、「最終処分地選定の打診をする態度」を示したと言える。

 

この催しを実施する以前に清水町民と主催者は揃って幌延の地層処分研究施設を視察していることが聴こえてきた。(町議会議員の談)
こうした一連の行動を「接待」だと思わない感覚でいると、ご理解のための催しも、最終処分にかかる文献調査受け入れなども、うかつな自治体が・・・? と、懸念する。

 

追加情報(2017年11月28日加筆)

関係者 札幌オオドオリ大学や田口ランディ氏、北村正晴氏は以下のような催しにも登場予定

核と鎮魂 on Strikingly

http://nucleusandreposeofsouls.strikingly.com/

 

以上

becquerelfree.hatenadiary.jp