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泊発電所の安全対策等に関する地域説明会 積丹町・美国会場(2016.4.19)報告

泊発電所の安全対策等に関する地域説明会
積丹町・美国会場(2016.4.19)報告

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参加者は37名、質問者は6名で合計12の質問が出た。
18時開会、1時間ほどの説明のあと、数分の休憩をし、質疑応答。質疑の時間が20分ほど延びて19時50分に閉会した。

質疑応答内容>
質問者(Q)、北電(A)。
回答はスライドを出しながら、今している対策例を説明する流れだった。

1人目
Q1:ヒューマンエラーとはどのくらいでみているのか?
A:福島原発での事故は人為的ミスで起きたわけではなく、津波が直接的な原因。しかし、その後の色々な事故調査委員会で電力会社の体質が指摘された。安全意識が足りないということに対し、ヒューマンエラーはいつでも起こりうるとの前提で見直し、改善を図っていく。割合や数字では表していない。

 

2人目
Q1:発電の構成比は?
A:時間帯で変わる。需要変動に合わせるのは火力。現在は石炭51%、石油28%、水力15%、太陽光・風力5%、LNG1%となっている。福島での事故前は火力が4割だったが、今は原子力が止まっているので8割を占めている。

Q2:将来的には原子力で1本化するのか?
A:原子力100%は現実的ではないので、ミックスして発電していく。

Q3:爆発に対する対策は?
A:すみません、聞き逃しました。(「大規模な損害への対応」(資料なし)というスライドで説明しながら、対応していますという話でした。)

 

1人目(同じ人が質問)
Q2:福島の事故の原因は?
A:地震で外部電源が来なくなり発電機で対応したが、津波で発電機が駄目になり、原子炉を冷却できなくなり空焚き状態になったため起きたと考えている。どの部分が原因かということは、放射線量が高くて近づけないため、位置断定できていない。

Q3:ベントが重要だと思うが、誰がこの作業をするのか?生死に関わる作業だが、誰がやるのかはっきりしているのか?
A:泊発電所のPWR型の原子炉では福島の原子炉と違うタイプなので機械で冷やせる。さらに冷やす設備も追加した。人で冷やすというより設備で行う。

 

3人目(M.T)
Q1:もし再稼動となる時は、新基準に対して考えている対策は全て行われてから再稼動なのか?
A:今日説明した資料に載っているものは再稼動前に出来ている。 猶予のある設備は(「特定重大事故等対処施設」(資料なし)のスライドを見ながら)、緊急時制御室、今日説明した以外の新たな電源設備、フィルタベントで、これらは工事許可から5年間の猶予がある。
 今日説明した対策で事故防止の強化、拡大を防ぐ、拡散を防ぐの対策を講じているので運転に当たってはここまでで大丈夫。猶予の部分は更に信頼性を高めるためのものなので、すぐにではない。

Q2:高レベル放射性廃棄物は、処分地も決まっていないし、これだけ地震の多い日本で処分できるのか。毒性がなくなるのに10万年もかかるとも言われている。これ以上廃棄物を増やすことは後の世代に対して無責任ではないのか?
A:六ヶ所村で再処理して多重バリアシステムで処分する。場所はまだ決まっていない。日本全体で議論が進むよう、科学的に適地を決める。多重バリアシステムは、世界共通の方法で、岩盤の天然バリアと緩衝材の人工バリアを組合わせる事で安全だと言われている。1千年で緩衝材の効力が無くなっても岩盤に閉じ込められる。地下水に染み出たとしても、地表に出てくるのは80万年後だろう。

Q3:質問ではなく、原発の近くに住んでいる者としての思い。避難が不安。地域で防災計画を考える時に複合的な災害を考えずに原発で事故があった際の避難を考えたが、実際は複合的に起こりうるのでこれでは不十分。地震津波で道路が使えない、波が高くて船が使えない、天候悪くてヘリ使えない、こんな時どうやって避難すればよいのか。避難について北電に言っても仕方ないが、もし何か起きたら私たちはどうすればよいのか分からなくて不安だ。避難だけでなく暮らしも不安。積丹町は農業、漁業、観光で成立っている。もし何か起きたら産業が成立たない。避難に対しても、暮らしに対してもこんなに不安がある中で、再稼動はしてほしくない。
A:地域、道や国が防災計画をたて訓練を行い、「泊地域原子力防災協議会」を作って対応する。内閣府も「泊地域原子力防災作業部会」を作り「原子力防災会議」とも繋がりながら緊急時対応の策定をしている。ここでは計画した避難経路が使えないときにどうするかも検討される。これはまだやっている途中で、まだ計画は出来ていない。これらが協力して協議会を支援、充実、強化していく。

Q4:原発は安全対策や廃炉の費用など膨大な費用がかかる。周辺の私たちは不安の中暮らしている。同じお金をかけるなら、避難や暮らしの不安がない再生エネルギーへ電源を変えられないのか?
A:国が示している原子力発電コストは10.1~円/kwh。ここには安全対策費用や事故リスク費用も含まれている。事故リスクは1兆円増えると0.04円増える。これは他の電源に比べ格段に安いわけではないが遜色ないレベル。

 

4人目
Q1:再稼動したら北電は30年、40年で廃炉にするよう想定しているのか?
A:原発は稼動してから40年を超える時には国の審査を受けなければならない仕組みがある。審査を通ればさらに20年延ばすことが出来る。

 

5人目(高野健治)
Q1:原発で事故が起きたときの影響の大きさは福島から学んだ。放射性廃棄物についても、もんじゅなど大金を投入してもまだ目途がたっていない。処分法がないまま再稼動を進めるのは無責任。積丹町議会は過去に何度も原発に対して反対の決議をしている。このまま廃炉にできないのか?
A:福島の事故で未だ避難している方々が沢山いらっしゃる。事故の影響はとても大きい。福島の事故を受けて新しい基準ができてどう変わったのか、事故が起きない対策、万が一事故が起きた時の対策を紹介してきた。また、新基準に対応だけでなく、独自の対策もしている。電気の安定供給が我々の仕事。水力、火力、原子力、再生エネルギーを組み合わせてなのだが、原子力が使えないことで火力が増え、電気代が2回も上がった。そもそもの原因は火力が8割占めているからで、北電の経費のうち燃料費・購入電力費も火力が4割だった頃の1200億円から現在は3000億円になってしまった。これは火力の燃料費による。バランスよく発電をしていかなければと考えている。

19:50分閉会

<感想>
・計画の段階でも、さも現実やっているように説明する(例えば、廃棄物も再処理して安全に処分できます、等)ので、会場にいる人が勘違いしやすいように感じた。
・同様に、質問の意図に対して答えていなくても、これだけ安全に配慮して対応していますということをスライドで示しながら話すので、会場にいる人が安心だなと勘違いしやすいように感じた。
質疑応答の時間が短いので、質問ある人は早めにどんどんと発言した方がいい。
・夫は時間が足りず、1つしか質問できなかった。


 (質問したかったこと)
 ・パンフレット「ほくでんエネリーフ」の内容がひどい。「原子力のコストが安い」、「ウランは安定した国を中心に安定して調達できる」、「100ミリシーベルト未満の放射線を受けた場合の影響」について誤ったイメージを与える表現ではないのか?


 ・エネルギーも食料と同じでなくなると生活できなくなる。安全保障の点からも、自給できるエネルギーが大切ではないのか?ウランもその他も供給や輸送経路で問題が起きたらエネルギーがなくなる。メタンハイドレードシェールガス、風力、再生エネルギーなど自給できるエネルギーを増やしていくべきではないのか?


 ・原発は30km離れていても私たちの暮らしに影響を与える。再稼動の際には原発周辺の4町村だけでなく、30km周辺の市町村にも同意を求めてくれるのか?

以上です。
(M.T)

積丹町公式ホームページ