becquerelfree’s blog

NO NUKES,ONE LOVE

令和元年度北海道原子力防災訓練(2020年2月6日、13日)に関する質問 北海道へ提出

道民視察団が本日付けで北海道に対し、本年2月6日・13日に実施された、「本年度(令和元年)北海道原子力防災訓練に関する質問」を提出しました。

 

また、2月内に以下の2点について報告していただくよう、問い合わせました。

①参加者実数
防災訓練に参加した各自治体ごとに、一般住民、医療福祉施設に滞在していた人の人数、小中学校の児童生徒と職員、要配慮者のうち、高齢者、外国人、妊産婦、乳幼児が何人いたか(実績数)
ヨウ素剤配布訓練の内容(どの自治体でどのように何名を対象に行ったのか
この質問については説明しませんでしたが、毎年うかがっています。

②他府県からの参観結果(どの自治体から何人派遣されたか)

 

■ ■ ■ ■ ■

 

                         2020年3月25日

令和元年度北海道原子力防災訓練(2020年2月6日、13日)に関する質問

                                  

                       道民視察団

                       代表 太田規之

 

2012年から北海道原子力防災訓練の実施日に北海道電力泊発電所周辺自治体および周辺住民の避難にかかる受け入れ自治体での訓練箇所視察を継続しています。

有事の際に少しでも実効性のある内容となるよう、毎年、担当部署課である危機管理課、原子力安全対策課に質問、要望をお伝えしています。

原子力防災訓練はブラックアウト直後の秋の実施以来、1年以上を経て行われました。北電のいくつかの不祥事、最近では記録の過小報告を経て初めて行われた訓練でしたが、前回に比較すると訓練全体が過酷を想定しているとは言い難く、緊張感に欠ける印象を持ちました。

本年行われた訓練内容について、以下に質問を記します。

 

【質問】

  • 訓練の持ち方について

部署課は訓練終了後に「訓練をスムーズに終えることができた」と報道にコメントしている。

ブラインド訓練を求められながら、実働訓練と意思決定訓練を別々に行えば、当然、スムーズにスケジュールをこなせるが、問題を洗い出すには2017年以前と同様に、同時に行うべきなのではないか?

  • 今回の訓練では、意思決定訓練のみをブラインド訓練としたために、原子力事故発生の想定に「風向きを考慮していなかった」。訓練の現場でも誰の口からも一度も風向きについて発せられることはなかった(参観の中では聞こえなかった)。そもそも、風向きと線量を考慮しないのでは訓練に全く臨場感がない。

最初から受け入れ自治体と避難先が決められ、先に設置訓練が終了されているような訓練をするならば、ブラインド訓練とうたうべきではないのではないか? 

  • 札幌と小樽に大きい医療施設や企業の受け入れ施設があるのはわかるが、この二か所方面に風向きがあり、線量が高くなってしまう想定もすべきではないか? 

(その日の風向きで避難場所を変える本当の意味でのブラインド訓練の必要性)

 

  • 他府県からの参観者視察ルートについて、今年は事故が起こった泊原発立地自治体および周辺自治体4か所には一切、視察予定がなく、すべて余市町内で狭い範囲を行き来し、ニッカウヰスキーのような観光課されている場所で長時間の昼食休憩を設ける内容だと、午前午後あわせてほんの数か所しか見ることができない。視察する実働訓練内容の見直しが必要なのではないか?

 

  • 聴き取りに拠り、関係自治体の実働訓練参観者にカウントされている住民のうち、多くは自分が訓練参加者であるという自覚がないのではないかという疑問が浮上した。福祉、医療、教育現場に対し実働に参加しないまでも、屋内退避とされている住民にはせめて原子力防災訓練の日であること、事故想定でその時間どのようなことが進んでいるかを知らせることが必要なのではないか?

 

  • 「避難路の確保」が想定中に欠けているのではないか? バスや避難物資輸送に向かう運転手に、道路状況を知らせるインターネットアプリケーションの説明があったが、封鎖されている道を知らせる程度の「情報しか得られない。水や食料の提供、お手洗いの場所も大事な情報だが、観光の案内ではないのだから、一番大事な線量、風向き、給油箇所を有用情報として一番にわかりやすく表示するべきではないか?

 

  • 陸上自衛隊の協力により、迅速に集会所や車体の洗浄、放射能測定などができる環境を設営することができているが、その旅団がどの程度遠くから何時間かけてたどり着けるかを想定していないのではないか? 

  

  • PAZ内の住民は自衛隊や医療班が到着するまで避難できないということになるが、住民への対応は何時間かかると想定しているのか? PAZ内の住民が先に避難するとか、集会所で待つという所作はこれまでの訓練では設営の時間を差し引いているため、換算しておらず、期待される時間での避難はそもそもできるとは考えられていない計画なのではないか?

 

  • 加圧施設内に待機(籠城)する人々へのケアについて、特に食糧、給油のための人員確保について、これまでも質問を重ねてきた。労働者の被爆を避けられないのに、避難場所へ向かう人の確保が約束されるとは考え難いが、現時点で有事の際にはその役割を遂行する確約できると、名乗り出ているのか?(個人、企業)

 

  • 不祥事続きの北電泊原発の様々な機器のコンディションについて、今一度、すべてを見直すべき。

 避難の際には一番必要な線量を計測する各地のモニタリングポスト、仮設用(可動式)モニタリングポストと、インターネットの道路状況をリンクする案は措置されるのか?(今回の説明では封鎖路しか無かった)

 

【訓練を視察した感想】

・前回までは、訓練終了後に防護服をビリビリ破いて適当に脱ぎ捨てる様子を見かけていたが、今回の、訓練の最後に、医療班が全員集合して汚染を拡散しないよう丁寧に防護服を脱ぎ、回収するところまでを実際に観察し、対になって取り組んでいるところを観た。放射線防護だけではなく、現在、話題となっている伝染病ウイルスに配慮し、かなりの緊張感で真剣に取り組んでいるのが伝わってきた。実用性に於いて評価できる訓練内容だったと思う。2012年からこれまでの訓練内容で、この実働訓練が一番、「放射線被ばくから身を守る」という臨場感があり、この実践を住民に対しても行ってほしいと思った。

 

・部署課は「予算の中でやれること」とし、職員や関係者だけに防護服を配布するが、住民にはマスク1枚配布されてはいない。せめてマスクの着脱訓練くらいはすべきだろう。

ヨウ素剤配布訓練で書き込む健康調査(持病のクリスなどの有無)は難しすぎる。周辺住民には事前に書いておいてもらい、原子力有事ではなくても役場などが事前に保管してはどうか。

 

・雪崩による道路の封鎖に拠って、孤立した住民の救助に向かう訓練や、給油訓練などがあった。

避難路の途中は雪上車ではなくても走れる想定にしてあったことや、ブルドーザーなど除雪機器がすでにその場に準備してあれば、当然、訓練はスムーズに運ぶと思うが、そのようなご都合主義の訓練では有事の際には使えない。

 

・これまでの訓練よりも参加するバス会社の数が目に見えて多かった印象を受ける。

 中央バス、北海道バス、じょうてつバスなどの道内大手だけではなく、ニセコバスふらのバスなど、地域のバス会社だが、有事にたまたまその場所に居合わせるかもしれない地域のバス会社、運輸会社が訓練に参加していたことは評価できる。

 

以上

f:id:emikamassion:20200325091839j:plain

以上