平成28年9月1日 放射性廃棄物に関する会合 質問項目
主催・呼びかけ団体:「核ゴミ問題研究会」
開催日時: 2016年9月1日 午前13時30分~ (事前の市民集会12時から)
開催会場: 参議院議員会館 B109号室 協力・賛同:福島みずほ事務所
原子力規制委員会(廃棄物埋設事業 放射線審議会 核燃料安全専門審査会)
原子力発電環境整備機構( NUMO)、日本原子力研究開発機構(JAEA)、
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<本日の主な質問内容>
JAEAに求める質問
・ 幌延の地層研究施設での研究に関する本年度事業を含む見通しについて
1・ 科学的有望地の絞り込みと10月をめざす3区分のマッピング公表 についての見通し
2・文献調査から概要調査への流れ 進捗状況
3・六ヶ所村再処理事業の技術的・経済的状況の説明(再処理等拠出金法)
4・核ゴミの海外委託問題
5・室蘭・苫小牧 金属廃棄物の加工事業について経産省と国交省(海輸)、日本原電へ
NUMOへの質問
・特定放射性廃棄物最終処分について
JAEAに求める質問
- 幌延の研究計画当初の約束では20年程度という期限のため、2021年には終了する。
立抗の埋戻し工程表などを含め、今年度以降の計画見通しについて明示を乞う。 - 「埋戻しの際、隙間なく埋戻しをする技術について」
ひび割れが地下の断裂を生むような、所謂エレベーターにならぬような配慮をしながら工事をする技術開発や、細い割れ目を通って地上に地下水やガス等が浸み出すような事態(湧出現象)を回避するための研究も進められているのか? - 幌延の地層研究施設での研究に関する本年度事業を含む見通しについて
新しく示された要件の中では、「沿岸部に関連する事項」に添えられた3種類図案から、地上施設のある事例よりも、更に海側に可能性を求めている印象を受ける。同時に「沿岸部の考慮すべき事項」で、海水準変動や塩水(塩淡境界)の影響、浸食の影響、建設・創業時の津波や湧水からの影響を、付け足すように記している。むしろ、この3つのマイナス要件が重視されなければならないのではないか? - 海底にも、該当エリアを求めているが、海水の浸水、塩水による緩衝材(ベントナイト)やオーバーパックの腐食進行を考慮すると、相応しいとは考えにくいのではないか?
経産省への質問
1・ 科学的有望地の絞り込みと本年中の提示をめざす3区分のマッピングについて説明を乞う
- 9月8日まで募集されている「科学的有望地の提示に係る要件・基準の検討結果( 地層処分技術WGとりまとめ)」(案)に関する意見について、8月9日の第18回ワーキングが公表された中で説明されている。
募集した意見をどのように反映させるのか。
- WGとりまとめにはTRU廃棄物の処分・保管についても特定放射性廃棄物と同様に考察されるべきとしているが、同様に取り扱うべきではない形態であるため、ついでのように組み込むことは相応しくない。別の問題として検討し、処分措置を決めるべきではないか?
- 経産省が専門家に求めたパブリックコメント(本年3月)では、我が国は国内で特定放射性廃棄物の最終処分地として、科学的有望地を絞り込む必要があるとし、「科学的に判断する」としているのにもかかわらず、スウェーデンが不適格とした地盤の資料と、日本の科学的有望地の条件を科学的に比較・考慮しないのは科学的知見に立っても不適切なものと考える。
日本の候補地とされる場所が海外での事例の条件には当たらないことに、言及するべきではないか?
※5月21日札幌の深地層シンポジウムで小野有五(北大名誉教授)氏が指摘した件。
- 「地質環境特性及びその長期安定性の確保」を「回避すべき範囲」「回避が望ましい範囲」 「好ましい範囲」 の3区分とし、WGとして回避すべき範囲には、地震、活断層、資源、人口比などを上げているものの、「科学的有望地」の要件を満たすとまで断言するための基準をWGのまとめでは明確には表していないのではないか?(地質学的比較以外の要素に関してもスウェーデンと比較する必要があるのではないのか?)
- 原子力規制委員会は、今回の科学的有望地の「好ましい地域」の検討や、個別の深地層処分研究事業、更に、 研究開発施設の安全な埋戻し等について、どのような審査に関わっているのか?
2・文献調査から概要調査への流れ 進捗状況 <経産省への質問>
文献調査から概要調査への流れ 進捗状況に関連して
- 北海道には「特定放射性廃棄物に関する条例」がありますが、「特定放射性廃棄物」以外については、この条例に抵触しない、として北海道の大地に貯蔵する計画を進められてしまうのではないかとの危惧があります。
※本年7月7日に北海道に持ち込まれた廃炉金属により、室蘭・苫小牧での余裕深度処分用の容器試作製造というものはまさにそれを感じさせるものという道民も少なくない。
他の区分の放射性物質を含む指定廃棄物がすでに1kg当たり8000ベクレルのものまで移送をしたり、さらに再利用をして良いということになっているが、将来の他の区分の放射性廃棄物に関する貯蔵管理の見通しを、現在決められている、あるいは判っている範囲で教えてほしい。
3・六ヶ所村再処理事業の技術的・経済的状況の説明 <経産省と日本原燃への質問>- 六ヶ所再処理施設の遠心分離装置の多くが機能停止しているのではないか?
- 工場内の何箇所も同時多発し、火災や水素の小爆発(7時間以内で爆発濃度に達する容器がある?)が引き金になり水素掃気系配管等が破損すると、さまざまな貯槽に掃気用空気が入らなくなり、各貯槽で爆発が起こり始めるのではないか?
- このような事故発生の可能性ついて厳重に審査しているか?
これのような場合、JAEA東海再処理施設でも同じく対応できるのか?
- 六ヶ所再処理施設での 燃料濃縮工程で必要な遠心分離装置が大量に使えなくなった事例が去年の落雷の前にもあった。その時期はいつか? システムが外部からサイバー攻撃された可能性はあったか?
再処理等拠出金法に関連して<経産省への質問>
- 再処理事業については、新認可法人の設立と再処理等拠出金法に関連すると考え、新しい法律の下で、再処理事業、及び最終処分事業費が電気料金に与える影響(施行前と施行後の違い)や、法的根拠に基づく課金の算定方法がどのように変るのかについて解りやすく説明していただきたい。
また再処理事業全体(※関連団体を含め事業体全体)の総額を現在、いくらと想定しているのか?
- 5月10日 第190回国会会期中に開かれた経済産業委員会(会議録第9号11㌻を参照)で指摘されていた
「原子力事業者に万が一の経営破綻等があった場合に、ほかの債権に優先して新しい認可法人の拠出金が守られるという法的根拠は何か?」(他の債権者が拠出金を弁済に充てるべきと訴えた場合どうなるのか?)
※再処理等拠出金法では、電力会社が積み立てた再処理費用が新認可法人にそのまま移管(譲渡)されることが合法であるのか、国民にはわかりずらいため詳しい説明が必要。
③ 第38条「対象発電事業者は、前条の規定により積み立てられた使用済燃料再処理等準備引当金について、特別の理由がある場合を除き、当該使用済燃料再処理等準備引当金を取り崩してはならない。」
「取り崩してはならない」となってはいるのですが、そのように決まっているのに、これまでに全く、再処理事業に見合ったことにしか使っていない、1円も取り崩していないと言えるのでしょうか?
アクティヴテストのようなものは、あくまでも試験とか研究の段階であり、再処理という実際に契約時に依頼したものではないのではないでしょうか?※過去に日本原電などが取り崩したことがあるのではなかったでしょうか? 先例がある場合、教えてください。
<規制委員会への質問>
- 再処理工場の基準地震動は700ガルとなったが、書類上の審査・処理によって導き出されたのか?
(大間原発は650ガル)(どの方向に対しての基準地震動なのか?)
- 貯蔵期間の改めを提案したのは、原子力規制委員の田中知であり、規制委員会の会議で提案されたことが議事録に残っていると伺っています。安全を求めて貯蔵期間を日本原燃自らが改めるならまだしも、規制する側が教えてあげるというのは、どうした経緯からだったのでしょうか?これにかかる科学的論拠はどのような内容に基づくものなのか?
4・核ゴミの海外委託問題 <経産省への質問>
(モンゴル、オーストラリアなど他国での核ゴミ最終処分事業案などが日米共同で具体的な案や動きがあるように聞こえている。前回までの会合では経産省は、そのような話は聞いたことがないとの回答)
- 間もなく、海外からガラス固化体が帰ってくるようですが、その見通しなどについて教えてください。
「同州が、日本、台湾、韓国などから輸入した放射性廃棄物の処分場を建設することを検討すべきと」の内容が含まれていました。
5月9日には最終報告書が発表され、南オーストラリア州のウェザリル首相(労働党)は、放射性廃棄物の地下貯蔵施設の建設案について、年内に「明確な政治的判断」を下す考えを明らかにしました。
予定地とされた土地のアボリジニの人々とその支援者らは、この計画に激しく反対しています。
これまでオーストラリアからウランを大量に買いつけて核燃料として原発で使用してきた日本ですが、
今度は放射性廃棄物ビジネスの顧客として名指しされており、私たち日本国民にとって、看過できない問題です。国として、このような案を進めているとすれば、詳しく説明をしてください。
5・経済産業省委託事業 「原子力発電所等金属廃棄物利用技術開発」金属廃棄物の加工事業について
※7月7日 我が国初の茨城県東海村「原子力発電所」の廃炉資材金属約60tが、日本製鋼所 室蘭製作所 室蘭港日鋼バースへ120tクレーンにて、陸揚げされた。
- 昨年11月27,28日両日事業案の概要説明、本年6月28に室蘭市で事業結果の説明会が開かれた。
この事業全般について、まずは北海道民が安心できるような説明を求める。
- 今回の事業は東海村で廃炉になった金属廃棄物(燃料取り換え機を移動するためのレール)の加工としているが、クリアランスレベルとする金属のセシウム値しか測定せず、どのような核種が含まれているかも明らかにしていないのはなぜか? 今回の事業での労働者が受ける被曝線量は法令で定められた年間10マイクロシーベルト以下としている。実際の労働環境で常に測定するとはしていないのは低レベルだからという説明を受けたが、測定をすべきではないか?(事故とは不測の事態で対処を求められる事象のことを指し、その事故を察知するためにも常にモニタリングが必要とされているのは当然のこと、もしもの事故のためにも線量のモニタリングは欠かすことができない。)
- 今回の加工事業で試作されるのは、余裕深度処分用の容器と聴いた。これは耐久性試験をするというので、しばらくは老朽の具合を観察するなど、工場内などに放置されるのか?(あるいは専門の試験研究施設に移送されるのか?また工場内で放置試験というのであればその試験計画の詳細に関して開示を求めたい。) 容器は、どの期限までに、どこに搬出されるものなのか?
<国交省・日本原電(海輸)への質問>
◆使用済核燃料や廃炉によって出された金属廃棄物等、放射性物質を含む物の搬送に際し、労働者被曝軽減のために、測定以外に取られている対策及び措置はどういうものか? また、その判断は、どの機関による基準を用い、どのように判断されるか? 今回のような金属加工事業で配慮されるべきことは、どのようなことか?
(特定線量下業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドラインに沿ったものか?)
<特定放射性廃棄物最終処分について>NUMOへの質問
- 地下処分場について、深さ300m以上にある処分坑道に相当な地圧がかかるはず。そのような場所にこんな細かい坑道や穴を掘削し、長期間維持することは可能なのか? 地圧によって坑道ごと押しつぶされてしまうのではないか?
- 地下坑道について説明するとき、地下から発生するメタンガスなどの可燃性ガスについてはどう考え、どのような対策をしているのか。わが国では炭鉱などでガス爆発、ガス突出などの事故が多数発生し、多大な犠牲者を出してきた歴史がある。炭鉱では作業着は静電気が発生しにくい素材という。静電気ですら危険なのである(1981年北炭夕張新鉱事故の二次災害(坑内火災)は静電気が火元とされ、原因は救護隊員の持ち込んだビニールシートもしくは隊員の身体による帯電とされる)。核ごみの処分場では無人の遠隔操作となっているが、操作ミスや老朽化などにより、電気ケーブル等が損傷すれば大事故につながりうるのではないか?
- 資料によっては「換気立坑」というものが存在している。坑道のガス濃度は適切に管理しなければ、坑内爆発、火災の発生につながるので、換気は必須と思われる。坑内で爆発等が発生した場合、この換気立坑から放射性物質が地上に飛散するのではないか?
- 幌延の研究計画当初の約束では20年程度という期限のため、2021年には終了する。
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