平成31年2月22日に参議院議員 福島みずほ議員の事務所を通じ、「第8回核ゴミに関する政府との会合」(2月14日)に問い合わせていた過酷事故に関する資料が解凍として届けられた。以下に報告する。
【去る2月14日のお問い合わせへの回答】
去る2月14日の「核のゴミに関する意見交換会」での弊機構の地層処分の安全性に関する評価の結果に関するお問い合わせにつきまして、以下のとおり回答いたします。
- 「坑道内での火災、地震、土地の隆起、火山の噴火などが起こった場合に放射性物質がどのように漏れるのかを想定した、あらゆるパターンのデータ」について
坑道内での火災などの操業期間中と土地の隆起など埋設後数万年以上の長期に分けて、これまでに実施している評価の概要を説明します。
なお、今後策定される規制や処分地選定プロセスなどを踏まえて、更に検討を進める必要があります。
<操業期間中の想定について>
2018年11月に公表した「包括的技術報告書」(レビュー版)(注1)を引用して説明します。なお、これから原子力学会等のレビューを受け、レビュー結果によっては修正の可能性があります。
(注1)第5章 閉鎖前の安全性の評価
https://scct.numo.or.jp/GeoCom2/faces/project/view.xhtml の第5章
・放射性廃棄物の落下、施設内の火災、外部電源喪失やその他の機器の故障を想定し、放射性物質の漏洩を引き起こすような、廃棄体の力学的または熱的損傷の可能性について評価している。落下などの衝撃などにより一部変形はするものの大きく損傷し放射性物質の漏えいにつながる可能性は低く、火災の延焼などに伴い温度上昇したとしても熱的損傷する条件よりも十分に低い。(注1の5.4.3)
<埋設後数万年以上の想定について>
2018年11月に公表した「包括的技術報告書」(レビュー版)(注2)を引用して、火山の噴火の場合について説明します。なお、これから原子力学会等のレビューを受け、レビュー結果によっては修正の可能性があります。
(注2)第6章 閉鎖後長期の安全性の評価
https://scct.numo.or.jp/GeoCom2/faces/project/view.xhtml の第6章
・適切な処分地選定によりその影響を基本的に排除できて、想定の必要がないほど発生の可能性が極めて小さいシナリオとして、新規火山発生などのケースを想定している(注2の6.3.3(3)など)。
・新規火山発生シナリオの結果は、発生の可能性を考慮し、国際的な考え方を参照して「めやす」として仮設定した目標値を下回っている(注2の6.4.3(1))。
包括的技術報告書では、隆起・侵食を含む地形の長期的な変化などはサイトの条件に強く依存するため、今後の処分地選定プロセスの中で検討を進めて参ります。なお、第2次取りまとめ(注4)の中では、以下のように評価されています。
(注4)分冊3 地層処分システムの安全評価 https://www.jaea.go.jp/04/tisou/houkokusyo/dai2jitorimatome_b3.html
・安全評価の基本的なシナリオでは、隆起・侵食については処分場の環境を変えるような影響を及ぼさないとしている(注4の4.3.1)。
・これに対して、隆起とともに侵食が長期間にわたって継続することにより処分場の深度が徐々に減少することを想定したケースも検討しており、線量の最大値は、諸外国で提案されている年間の防護レベルを下回っている(注4の6.2.1.1)。
・さらに、注意深いサイト選定や処分場の設計により回避することができるものの、隆起・侵食の継続により遠い将来において処分場が地表に到達することを仮想的に設定した事例検討を実施しており、天然の放射線レベルに有意な影響をおよぼさない可能性があることが示されている(注4の付録B)。
以 上
お問い合わせ先
原子力発電環境整備機構
事業計画部 企画G
黒澤 進
TEL.03-6371-4005
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この回答を観ると、坑道内火災などが起こった際、「火災の延焼などに伴い温度上昇したとしても熱的損傷する条件よりも十分に低い」としており、温度の上昇勾配について詳しい根拠や、十分な配慮、判断、評価があったようには受け取れない。
また、放射性物質の環境への漏えいについても、予測条件が曖昧で、これをもって「最悪シナリオ」への評価とするのは、尚早なのではないだろうか。
以上